- 発行日 :
- 自治体名 : 栃木県宇都宮市
- 広報紙名 : 広報うつのみや 2025年9月号 No.1794
ID:1008394
■「知識は人生を豊かにする」
県内初の古文書解読師範に
◇渡辺 真澄(わたなべ ますみ)さん
プロフィール:中央図書館で会計年度任用職員として勤務しながら、書道教室や博物館での古文書解読の指導を行っている。
古文書研究の発展に貢献できる人材を輩出することを目的に実施する「古文書解読検定師範試験」。渡辺真澄さんが、県内で初めて合格しました。
本試験は、古文書解読検定の1級合格者のみを対象としており、極めて難しい試験です。今回、渡辺さんは、全国で22人目であり、本県では初の合格を獲得しました。また、「生涯学習1級インストラクター」をすでに取得しているため、古文書解読においての最高位をダブルで取得するという快挙を成し遂げました。
合格した秘訣について「一言でいうと努力。やり始めたら、行きつくところまでやり続け、文字に追いかけられる夢を見るほど、常に古文書について考えている。分からない文字があればすぐに調べられるよう、枕元にメモを置き、プロとして、実力と経験を積む努力をしている」と話します。
40歳から始めた書道では3年ほどで師範を取得し、金融機関を退職後、書道教室を開いた渡辺さん。当時、教室の生徒が持ってきた古文書を解読することができなかったことをきっかけに、古文書を学ぶ決意をしました。独学で学び始めた渡辺さんは、「古文書の参考書となるものはたくさんあるが、淡々と書き写して覚えた。図書館での業務や、家族や周囲の方々の支えすべてが、今回の合格につながったと思う」と率直に振り返ります。
古文書の魅力については「当時のさまざまな位の人が書いたものであるが、特に普段の生活の記録がたくさんあり、古文書を通して当時の人たちの息遣いまで感じられるところが魅力。また、芸術作品ではないが、書かれた文字や言葉遣い、文章なども素晴らしく、字を崩しながらも達筆に書き上げているところに感動させられる」と語ります。
古文書は生活の一部であり、寝ても覚めても古文書のことを考えている渡辺さん。今後の目標について、「古文書の崩し字を筆字で書けるようになり、生徒にも指導したい。文字は一生使うものだから、どうせならきれいな字で書きたい」と笑顔で語ります。
知識は人生を豊かにする。多才で努力を惜しまない渡辺さんは、後進の育成にも取り組みながら、これからも、飽くなき目標に向かい、筆を執り続けます。