しごと きらりとちぎ人

相良酒造(さがらしゅぞう) 蔵元杜氏(くらもととうじ)
相良沙奈恵(さがらさなえ)さん
岩舟町静にある1831年創業の相良酒造の10代目蔵元杜氏として伝統を守り続ける相良沙奈恵さんにお話を伺いました。
※蔵元…酒蔵の経営者 杜氏…酒造りの最高責任者

■蔵を継ぐ決意
「子どもの頃は、蔵は薄暗くてなんとなく怖い所でしたが、今では一番落ち着く場所です」と笑顔で話す相良さんの人生の転機は、高校3年生の春。ご家族の病や怪我が重なり、両親から蔵を継ぐことを打診されます。先祖が代々繋いできた伝統を絶やしたくないという思いから、蔵を継ぐ決意を固めました。そして急遽進路を変更し、東京農業大学醸造科学科に進学。初めて学ぶ内容に苦労しながらも、懸命に勉強を続け、卒業後は群馬県の蔵元で2年間修業を行いました。その後、平成24年に相良酒造に戻りました。

■杜氏としての歩み
実家に戻って最初の酒造りは、苦難の連続。大学や修行先で学んだことも設備や環境が異なるので、同じやり方ではうまくいきません。試行錯誤を重ね、何とかお酒として完成させました。そんな努力を続ける様子を見た父・洋行(ひろゆき)さんから酒造りの最高責任者である杜氏を任されます。「父から託されたとき、嬉しさと同時に大きなプレッシャーも感じました。最初の年は、とにかく完成させることに必死で、思うような出来にならなかったので、不安も大きかったです」。そこで改めて自分の作りたいお酒について考え、目指すべき酒質を見つけます。そして、仕込みを重ねるうちに、ようやく納得のいく仕上がりへと近づいていきました。

■酒造りの日々と喜びの瞬間
酒造りの仕込みは10月から春先まで。ほぼ休みなく作業を続けます。麹菌を育て、酒母(しゅぼ)を発酵させ、搾りや瓶詰のタイミングを見極める、そのすべてがお酒の味を決める重要な工程です。「最後にお酒を搾って納得のいく味になった時は、鳥肌が立つくらいうれしいです」。

■創業200年に向けて
2031年に相良酒造は創業200年を迎えます。「この節目に向けて蔵を盛り立てて行きたいです」と力強く語ります。今後は設備を整え、生産量を増やし、契約農家からお米を仕入れる『生産者の顔の見えるお酒』造りを目指しています。「この相良酒造を次の200年も続いていけるような、地域に愛される酒蔵にしていきたいです」。