文化 国際交流員マルセルのコラム

■ドイツで医師の診察を受ける
〔Arztbesuch in Deutschland(アルツトベスヒ イン ドイチュランド)〕

◇日本と異なるドイツの医療システム-かかりつけ医
ドイツでの医療システムを利用する方法は、日本とは大きく異なります。
多くのドイツの家庭では、近所にかかりつけ医師の診療所(Praxis(プラクシス))があり、風邪や頭痛・腹痛など一般的な身体の不調を感じたときは、まずそこに行きます。
この医師は、Allgemeinarzt(アルゲマインアルツト)(一般医)またはHausarzt(ハウスアルツト)(家庭医)と呼ばれる医師で、特に専門分野はありませんが、全身の症状を診てくれる医師です。
もしあなたがドイツに引っ越すことがあったら、ドイツでの住居が決まったタイミングで、最寄りの地域にかかりつけ医を見つけておくと、いざという時に慌てなくてすむと思います。私はかかりつけ医に下の名前で呼ばれるくらい仲が良く、いつも安心して受診していました。
また、18歳までのお子さん(ドイツでは18歳で成人)がいらっしゃる場合は、小児科のお世話になると思いますので、やはり近所に評判のよい小児科の診療所があるか、確認しておくとよいでしょう。
そして、かかりつけ医や小児科が決定したら、まずお医者さんの人当たりや診療所自体の雰囲気を知るために、またこちら側の自己紹介もかねて、一般的な健診の予約を取るとよいでしょう。
ミュンヘンに住んでいたときに、日本人の友達に病気になったらどうすればいいかとよく聞かれました。ミュンヘンには、なんと日本人のドクターがいるので、いざという時は日本語で話すことができて安心です。こちらの診療所では、医師だけでなく、看護師・スタッフ全員が日本人なので、いつもお勧めしていました(日本人ドクター…ベッカー・シューダー幸代先生)。また、デュッセルドルフから電車で1時間ほどの町ドルトムントの郊外にある「健診センター.de」という施設では、日本人ドクターによるさまざまな検査が受けられるそうです。
おかげさまで私はまだ日本で病院に行くほど困ったことがありません。ただし、市役所に入ってから、健康診断を受けたことは新しい経験でした。ドイツでは、学校や一般企業で義務的な健康診断はありませんから!

◇まず予約をしましょう
ドイツでは、緊急でない定期健診などの場合は、まず先に電話で予約をしてから、当日診療所に向かいます。血液検査等の必要があれば、このときに「当日の朝は何も飲食しないで来てください」などと指示があるので、その指示に従います。風邪や頭痛・腹痛などの緊急事態の場合は、すでに面識のある医師でしたら、いきなり診療所に行ってもオーケーという場合もあります。ですが、やはり一度電話をして、「今から行ってもいいですか?」と問い合わせると、診療所によっては、「今は混んでいるので、●時頃に来てください」などと教えてくれることもありますので、その指示に従いましょう。
症状によっては、一般医・家庭医の診察のみで良い場合もありますし、さらなる検査や別の専門医による診断が必要と判断された場合には、かかりつけ医から指示が出ますので、それに従います。
それ以外に、眼科や歯科など、自分でどの専門医にかかればいいかある程度はっきりとわかる場合には、直接その専門医に行ってもオーケーです。ただし、評判のいい専門医ですと、電話をかけても予約がとれるのが2週間後や3週間後、などという場合もあります。特に歯科などは、普段から半年ごとの定期検診やクリーニングなどに通っておき、ある程度面識をもっておいたほうが、いざという時にも柔軟に対応してくれる可能性が高くなります。
さらに、大けがや重篤な症状の場合は、大病院の緊急病棟に行くことも考えられます。

■ミニコラム「花粉症」
春になってから、目の充血やかゆみ、鼻水が出たりくしゃみをしたりするようなアレルギー症状で悩んでいる方が増えているそうですね。それについて同僚に尋ねたところ「私、花粉症なんです」と言われました。
花粉症は日本だけではありませんが、ドイツにはスギやヒノキの花粉がありません。ドイツ語で花粉症は「Pollenallergie(ポッレンアレルギー)」と言い、日本と異なり、最も一般的な原因はシラカバや西洋榛(せいようはり)(ヘーゼルナッツ)が知られています。