イベント 秩父に新風。

■屋台囃子に想いをはせて
秩父市長 清野 和彦

今年も秩父夜祭が近づいてまいりました。秩父夜祭をはじめ、秩父地域の多くの祭や行事において演奏される屋台囃子を聴くたびに、この屋台囃子こそ、秩父に暮らす人々の心の奥深いところでつながりを生み出す役割をしているのではないかと感じています。
世界中のさまざまなソウルミュージックがそうであるように、屋台囃子には、秩父の風土が醸し出す心象と先人たちから受け継がれてきた精神が息づいており、その音色が、聴く人の心を包み、共感の時間と空間を創り出すのではないかと考えています。子どもから大人まで多くの方が屋台囃子の演奏に打ち込む姿を見るときに、このまちの目に見えない力強さを実感します。
屋台囃子の音が鳴り響き、私たちは自分たちの故郷の誇りと、世代を超えて受け継がれてきた文化の重みを感じます。太鼓や笛を通して人がつながり、技と心を伝え合う。その積み重ねが、秩父のまちを形づくってきました。こうした伝統を守ることは、「秩父らしさ」という心のよりどころを未来へとつなぐことであると考えます。
本年は、第75回全国植樹祭が秩父ミューズパークを会場に開催され、その行幸啓に際して、天皇陛下が秩父祭の笠鉾屋台を御視察になり、栄えある天覧を賜りました。
その後、初めて迎える今回の大祭は、秩父市にとっても大変意義深いものとなります。この歴史的な栄誉を心に刻み、地域を結びつけてきた祭が、これからも末永く続き、未来の世代へと受け継がれていくことを心から願っております。今年の祭が盛大に開催され、地域の絆をさらに深める機会となりますことを深くご祈念申し上げます。