- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県所沢市
- 広報紙名 : 広報ところざわ 2026年2月号 No.1247
■国立障害者リハビリテーションセンター研究所 運動機能系障害研究部 神経筋機能障害研究室長 河島 則天(かわしま のりたか)さん(市内在勤)
京都府出身。2000年に同研究所に入職し、在勤20年を超える。行きつけの店はすべて新所沢。
パラスポーツの現場にサポートとして赴くことも。リハビリをしていた患者が自分の作ったものを使いながら、生き生きと活動していることが、研究の活力になっている。
○研究で培った知識をリハビリ現場に届けたい
「研究は好奇心の延長です。自分がやりたいことを仕事にできて、恵まれていると思っています」。そう語るのは、国立障害者リハビリテーションセンター研究所の河島則天(かわしまのりたか)さんだ。
幼いころから体を動かすこと、新しいことに挑戦するのが好きで剣道、バスケットボール、バレーボール、フットサルなどさまざまなスポーツに取り組んだ。勉学よりも、ものづくりに興味を持ち、高校卒業後は京都の染め職人に弟子入りしようと思っていた。しかし、周囲の勧めでスポーツ実技とセンター試験半分の配点の大学を1つだけ受験したところ合格したため、その流れで剣道三昧の大学生活が始まった。
競技を優先するあまりに就職活動がおざなりになり、警察と大学院の2択から後者を選択する。初めて学問にしっかりと向き合ったことで、もっと研究をしたいと感じるようになった。ただ、在籍していた大学には学びたい領域の博士課程がなかったため、他大学に修士課程から入り直すという再スタートを決意したが、結果は不合格。実のところ一般的な研究者が経る路線とは大きく異なる。
将来の生き方を模索するなかで、偶然にも現研究所で大学の先輩に出会い、研究ができる環境を得た。自己流だった研究手法の手ほどきを受け、本物の研究に触れて大いに刺激も受けた。大学院の博士課程を経ずに学位を取る「論文博士」を目指すことを決め、研究実績が求められる重圧のなかに身を置いた。実験室での計測、データ分析と論文執筆を繰り返す日々を送り、2005年に見事、博士号を取得する。医療・リハビリ領域で障害者を対象とする研究スタイルが固まっていくなかで、論文という形だけでなく、実生活や医療・リハビリの現場で役に立つものをつくりたいという思いが強くなっていった。
2006年から留学し、リハビリ工学の研究室に入ったことを転機に、2009年に再び現研究所に戻ってからは開発研究主体の路線に方針転換した。
「ものを作ったところがゴールではなく、試作完了がスタートです。実際に使ってみて、当事者や医療職の意見を反映させ、製品にして、最終的に現場で使われ続けられるものになれば、そこがゴールです」と語る。リハビリの現場にテクノロジーの恩恵が届いていない現状を変えたいと奮闘している。毎年のように製品化につなげることは相当な労力ではと尋ねると「努力して努力して達成する大きなことではなく、毎日ちょっとしたことを達成することを続けるだけ。自分が作ったものが当たり前に使われることが一番の喜び」とごく自然体な河島さん。隠しきれないストイックな雰囲気は、アメリカで活躍してきた某野球選手を彷彿とさせる。
(取材:上地)
