文化 飯能市の史跡・文化財を訪ねる(16)

■国指定重要文化財 木造軍荼利明王立像(もくぞうぐんだりみょうおうりゅうぞう)
木造軍荼利明王立像は、真言宗の寺院「高貴山常楽院」、通称「高山不動」に安置されています。本像は昭和25(1950)年に国指定重要文化財に指定されました。通常は非公開ですが、特別な機会にのみ、その姿を拝むことができます。
軍荼利とは「甘露=不死」を意味し、軍荼利明王は五大明王の一尊として、強い力で外敵を除くと信仰されています。
像の高さは228・8cmに達し、一本の檜(ひのき)から彫り出された一木造りです。1つの顔と2つの目(=一面二眼(いちめんにがん))、腕は8本(八臂(はっぴ))であり、それぞれの手が意味を持つ法具や印相(いんそう)(手の形)を表現しています。右手には三鈷杵(さんこしょ)を持ち、拳印(けんいん)・施無畏印(せむいいん)を結び、左手には鉾(ほこ)や宝輪(ほうりん)を持ち、二手は胸の前で交差する大瞋印(だいしんいん)を結んでいます。特徴は両手足に巻き付いた赤い蛇です。これは異教の諸神(しょしん)の呪いを打ち払う意味を示しています。
一般的な軍荼利明王の姿と比べると、本像は動きの少ない体に、静かに凝固したような怒りの姿を体現しています。この独特の姿や彫法などから造立年代の特定は難しいものの、11世紀を下らない作とされています。
博物館にはレプリカが展示されていますので、ぜひご覧ください。
場所:常楽院不動堂宝物庫(高山346)

問い合わせ:生涯学習課
【電話】973-3681