- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県加須市
- 広報紙名 : 広報かぞ 2026年1月号
■父の軍事郵便
3年前の秋の彼岸中のこと、栄の旧家の母屋改築の際、古い文書や写真を見てもらえないかと頼まれ、拝見することになった。
ほとんどが明治から昭和(戦前)の土地田畑・金銭貸借関係の文書だったが、数通の軍事郵便と記されたハガキが目に留まった。その中の一通の差出人の名を見てびっくり。何と私の父親ではないか。
軍事郵便とは戦時中、軍関係者が無料で出せる郵便である(内地から出す場合は有料)。「北支派遣部隊」とあり、北京近郊にいた部隊であった。日付や部隊の所在地は軍事機密になるらしく書かれていないが、生前の父の話では「大陸に渡ったのは、昭和20年になってからだった」ということなので、終戦の2~3カ月前に出されたものらしい。宛先は、河辺村産業組合御一同様とあり、産業組合とは、現JAの前身であろう。
文面は出征の折り、餞別をいただいたお礼と元気で軍務に精励していますという内容である。77年前の当時27歳だった父が中国から出した郵便で、第一発見者が実の息子という奇跡的な偶然で、当時の歴史を知る上で貴重な資料である。
紹介者:渡邉章 加須市文化財保護審議会委員
問合せ:生涯学習課
【電話】0480-62-1223
