- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県加須市
- 広報紙名 : 広報かぞ 2025年6月号
■炉(ろ)とカマド
北川辺地域に所在する飯積遺跡(いいづみいせき)は、古墳時代中期~奈良・平安時代に形成された集落跡です。この時期は、縄文時代と同じように竪穴住居で生活していました。縄文時代は、住居も床を堀窪めて炉を造り、明かり・煮炊き・暖房用に利用しました。炉は単に床を掘った地床(じどこ)炉、その周りに石を並べる石囲い炉、土器片を利用する土器囲い炉などさまざまな形態のものがあります。1万年もの間こうした炉を使用してきましたが、古墳時代中頃から炉ではなく、カマドが煮炊き専用の場所として、住居の壁に造られました。
この時代の竪穴住居は、床の平面が方形であったので、その1面に造られることが基本ですが、なかには2面のものもありました。カマドが発達することによって、煮炊き用の道具である土器に大きな変化をもたらしました。長甕(ながかめ)の発達です。長甕は甑(こしき)と一緒に使用することにより、今までの煮る・焼く調理法に蒸すという大きな変化をもたらしました。甑は、現代の蒸籠(せいろ)と同じような役割を果たしている土器です。縄文から弥生時代は、素焼きの土器が使われましたが、古墳時代には素焼きの土器・窯で焼かれた須恵器(すえき)が使用されました。
紹介者:大塚孝司 加須市文化財保護審議会委員
○飯積遺跡の地
住所:飯積260-1
問合せ:生涯学習課
【電話】0480-62-1223