文化 おしえて「文化財」

■西原1号墳出土品(上唐子に所在する西原古墳群から出土)
西原1号墳(上唐子字西原)は、東西8m、南北13m、高さ1.25mの方墳と考えられます。昭和49(1974)年、国道254号の建設にあたり発掘調査が実施され、緑泥石片岩と河原石を用いて構築された横穴式石室から、鉄鏃(てつぞく)(鉄製の鏃(やじり))7本、銅鋺1個、方頭大刀(ほうとうたち)1振が出土しました。
銅鋺は口径16cm、器高7cmの平底の無台鋺で、外面には口唇部と胴部に対になる2条の沈線が巡っています。鋳型による鋳造製品で、鋳造後にロクロ削りが施されています。現代の旋盤技術にも匹敵する精緻(せいち)な技法です。
大刀は、柄頭が方形であることから方頭大刀と言います。全長は103.6cmです。大刀を腰に下げるための足金具は双脚足金具(そうきゃくあしかなぐ)で、鞘(さや)の末端に付けられている鞘尻金具は、ハート形の切り込みをもつ「鍬形(くわがた)」です。これらは方頭大刀の特徴的な刀装具です。遺存状況は良好で、大刀の外装の全容がよく分かります。
いずれも終末期古墳から出土する遺物としては逸品で、被葬者は畿内中央政権を構成する有力豪族との結びつきがあったと考えられます。

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