くらし 特集1 市の台所事情と今後の取組 ~安定した財政基盤を築くために~
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- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県東松山市
- 広報紙名 : 広報ひがしまつやま 2025年11月号No.1153
・急激な物価高騰
・人件費の上昇
・老朽化する公共施設
↓
向かい風の中、現状を分析し、課題解決への取組を進めていきます
【市の現状】
◆支出の増加・収入の停滞
右のグラフは、本市の一般会計における支出及び市税収入を10年前と比較したものです。
他の市町村と同じように、東松山市では近年、支出額が増え続けています。平成26年度に約291億円だった支出は、令和6年度には約369億円まで増えています。
支出が増えた主な理由は、社会保障のための支出、物価高騰、人件費の増加などです。
一方、市民税や固定資産税など、市の税収は少しずつ増えていますが、支出の伸びに追いついていません。
このような状況では、様々な行政需要に応えるために、国や県からの財源を活用するとともに、これまでよりも貯金の取崩しや借金を増やして、財源を確保しなければなりません。

◆貯金の減少
右のグラフは、市の主たる貯金である財政調整基金(※)の残高及び取崩し額の推移を示した表です。
市では過去4年間、毎年10億円を超える基金を取り崩して当初予算を編成しており、取崩し額も年々増えています。
基金の残高は、令和4年度末に24.2億円だったものが、令和6年度末には20.2億円まで減少し「東松山市中期財政計画」では今後も毎年約3億円ずつ減っていくものと見込んでいます。
※市の貯金にあたるものです。お金に余裕があるときに積立をしておき、お金が不足するときに取り崩して市の財政を調整します。
安定した行政運営のためには欠かせないものです。

※R3~R6は実績、R7・R11は中期財政計画上の見込
◆借金残高の増加
右のグラフは、地方債(借金)残高の推移を示したものです。
令和6年度までは同額程度で推移していましたが、市民生活の基盤づくりや暮らしを守るために必要な大規模事業の実施に伴い、借金の残高は確実に増えていきます。
○実施中または実施予定の大規模事業
・松高前通線整備
・準用河川新江川の改修
・第一小学校通線(ぼたん通り)の整備
・小中学校体育館へのエアコン設置
・新しいごみ処理施設の整備 等

※R3~R6は実績、R7・R11は中期財政計画上の見込
◆財政状況を表す指標
右の表は、令和5年度実績における県内40市の財政調整基金比率(※)の順位を示したものになります。本市は真ん中より低い順位に位置しており、その上、令和6年度実績については9.9%とさらに低い数値となっています。
※市の標準的な1年間の収入に対して、財政調整基金が占める割合を表す比率で、年度間の臨時的な支出に対応できる「ゆとり」を判断するための指標。
財政調整基金比率県内順位(%)

市の財政状況を表すその他の指標は、市民向け「私たちのまちの予算」でも紹介しています。
【財政の課題】
以上のとおり、支出の増加が収入の増加を大きく上回っていることや、貯金の減少、借金の増加により、市の財政は厳しい状況にあります。また、財政調整基金は、災害時等で緊急的な対応が必要となったときにすぐに活用できる財源としての役割も担っています。
このままの状況が続くと、市民サービスの提供に必要なお金が確保できなくなる可能性があるため、こうした状況を打開するための取組が必要です。
【今後の取組 ~安定した財政基盤を築くために~】
(1)収入を増やす取組
・ふるさと納税の強化
・使用料(施設等)・手数料(証明書等)見直し
・施設のネーミングライツ(命名権)活用検討 等
(2)支出を減らす取組
・市の全事業の抜本的な見直し
・経常経費(毎年度の継続的な支出)の削減
・イベントの開催頻度の見直し 等
(3)その他の取組
・財政状況を踏まえ、公共施設の今後の「あり方」を検討
・民間活力の導入検討 等
市民の皆さんには、使用料・手数料の見直しやサービスの縮小など、これまでより、ご負担やご不便をおかけすることもありますが、これからの東松山市の将来にわたる安定した行政運営に必要な取組です。ご理解とご協力をよろしくお願いします。
特集に関する問合せ:財政課
【電話】21-1413【FAX】22-4031
