- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県深谷市
- 広報紙名 : 広報ふかや 2025年10月号
■ふるさと血洗島(ちあらいじま)
栄一は血洗島村(現在の深谷市血洗島)に生まれました。いかにも恐ろしそうなこの地名の由来には、さまざまな説があり、はっきりとは分かっていません。栄一も由来について聞かれると、信ぴょう性に欠ける言い伝えだとして、『赤城山の山霊(さんれい)が他の山の山霊と戦って、負った傷をここで洗った』という話を紹介しています。その他にも、アイヌ語を語源とする説や、氾濫した利根川により土地が洗われる様子の『地洗い』が転じて『血洗』になったとする説などがあります。
血洗島にあった栄一の生家の辺り一帯は、北側に青々と水をたたえた淵(ふち)があったことから、『淵の上(ふちのうえ)』と呼ばれていました。栄一の雅号(がごう)(芸術や文筆活動で使う美しい別名)である『青淵(せいえん)』は、この淵にちなみ、いとこの尾高惇忠(おだかじゅんちゅう)から付けてもらったもので、栄一が書き残した作品の多くに『青淵』の署名を見ることができます。この淵はやがて枯れてしまいますが、青淵公園(下手計1241)内に残る『青淵由来之跡』の碑が現在もその跡を示しています。
晩年になると、栄一は、獅子舞が奉納される血洗島諏訪(すわ)神社の秋の祭礼に合わせ、毎年のように帰郷し、現在も残る『中の家(なかんち)』主屋の上座敷に滞在しました。そして、栄一自身も舞手を務めた獅子舞を見物しました。この『血洗島獅子舞』は、近代化とともに衰退の兆(きざ)しを見せましたが、村人を励まして復興させたのが栄一でした。栄一が愛した血洗島獅子舞は、10月19日(日)に開催される血洗島諏訪神社の秋の祭礼で今年も奉納される予定です。
