スポーツ 特集 INTERVIEW 市民インタビュー(1)

■プロゴルファー 神谷和奏
Kamiya Wakana

2001年10月1日生まれ
身長165cm/三郷市在住/一児の母
2023年度JLPGAプロテスト合格
取得資格:ACCA公認スポーツ栄養スペシャリスト

今回は三郷市在住のプロゴルファー「神谷和奏(かみやわかな)」選手にインタビューしました。
神谷選手は2023年度JLPGAプロテストに合格し、現在、ツアー制度の中でも若手登竜門とされる「ステップ・アップ・ツアー」に参戦中。出産、育児と競技を両立する“現役ママ選手”としては、現行のツアー制度が施行された1988年以降初と言われています。
3歳でゴルフを始め、19歳で結婚し第一子を出産。母として、そしてプロアスリートとして夢を追い続けている神谷選手のこれまでや三郷市での暮らし、子育てについてお話を伺いました。

◆ゴルフとの出会い
―神谷さんがゴルフを始めたのは3歳からと伺いました。きっかけは何だったんですか?
父はかなりのゴルフ愛好家で、将来的にはこどもたちをスポーツ選手に育てたいという夢がありました。それで姉が始め、兄が続き、自然と私もクラブを握るようになりました。私がまだ幼かった頃は、ゴルフコースを歩くだけでも楽しくて、家族と自然の中で過ごす時間そのものが大好きでした。気付けば、ゴルフが日常の一部になっていたんです。

―お父様もゴルフが上手だったんですね。
はい、アマチュアでしたが、「シングル」と呼ばれるレベルの腕前で、かなり本格的にやっていたようです。ただ、私がゴルフを始めた頃にはすでに辞めていたので、実際に父がプレーしている姿はあまり記憶にないんです。それでも、ゴルフを通じた家族の絆や、努力することの大切さを教えてくれました。

―プロを目指そうと思ったのはいつ頃ですか?
中学1年生の時です。それまでもゴルフは続けていましたが、「本気でプロになりたい」と初めて思ったのがその時でした。

―高校3年生のときに初めてプロテストを受けられたとのことですが、その決断には迷いはなかったですか?
迷いはありました。姉や兄もプロテストを受けていて、その大変さや精神的なプレッシャーを間近で見てきたので、自信が持てないうちは受けたくなかったんです。でも、父から「経験として一度受けてみなさい」と背中を押され、覚悟を決めて受験しました。

―プロテストでの不合格、その時の気持ちは?
想像以上にショックでした。長年努力してきたことを否定されたような気持ちになって、自分の存在価値まで見失いそうになったほどです。毎日あたり前のように握っていたクラブが、急に重く感じたのを覚えています。

―そこから立ち直れたきっかけは何だったのでしょうか?
そのタイミングで夫と出会いました。知人の紹介で訪れた場所に彼がいて、不思議と気持ちが軽くなったんです。彼の存在が、挫折からの回復にとても大きな力になりました。自分を責めるよりも、もう一度挑戦しようという前向きな気持ちを取り戻すことができました。

―過去の自分に声を掛けるとしたら?
「よく頑張ったね」と伝えたいです。結果だけでなく、その過程を大切にしてほしい。中学生時代に国体に出場した時、チーム戦でミスをして落ち込んでいた私に、監督が「頑張ったね」と言ってくれました。結果主義の父に育てられた私には、監督のその一言が胸に沁しみたんです。結果だけではなく、努力そのものを褒められる経験が、私の価値観を大きく変えました。

Q.JLPGAプロテストってどのくらい難しいの?
A.年に1度の難関試験で、合格率はわずか約3%。全国から集まった実力者が3段階の予選を経て、4日間の本戦で実力を競います。
※JLPGA…日本女子プロゴルフ協会。