- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県ふじみ野市
- 広報紙名 : 市報ふじみ野 令和7年12月号
『屋内神(おくないしん)と幣束(へいそく)』
現在では見かけることも少なくなりつつありますが、かつては多くの家で屋内にさまざまな神を祀(まつ)っていました。
居間や座敷には神棚があり、大神宮(だいじんぐう)が祀られました。ほかに、恵比寿(えびす)様を祀ったり、台所(竈(かまど))に荒神(こうじん)様またはオカマ様、井戸神様などを祀ったりすることがありました。
年末には、屋内の神や屋外の屋敷神に新しい幣束(御幣(ごへい)・幣神(へいしん))を供えます。幣束は、幣紙(へいし)を串ではさみ、紙垂(しで)という折った長い紙を串の両側から垂らしたもので、見たことのある人も多いでしょう。「幣」には、貴重な品という意味があります。古い時代には、幣紙の部分は紙ではなく布が使われ、紙垂も木綿や麻が使われていました。布を供えるのは、貴重な品として扱われていた時代の名残と言えるでしょう。
幣束は、年末に神社などでいただくのが一般的です。幣束をどこの神にどれだけ供えるかは家によってかなり差がありました。例えば、神棚の大神宮に6本、台所の荒神様・オカマ様に8本、井戸神様や恵比寿様など6カ所に供える家もありました。
幣束は年末に新しいものと取り替えますが、12月29日は「九(苦)」がつくため避ける家もあります。また、「一夜飾りはよくない」として、31日に供えない家もあります。
荒神様・オカマ様は、台所に祀られた火伏(ひぶ)せの神であり、家によって呼び方は違いますが同じものです。
上福岡歴史民俗資料館では、昔の民家を再現しており、竈の上に幣束と注連縄(しめなわ)を飾っています。これは荒神様・オカマ様を表現したものです。ぜひご覧ください。
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上福岡歴史民俗資料館
≪ACCESS≫
・長宮1・2・11
・上福岡駅東口から徒歩20分、ふじみん号Aコース「福岡小学校前」下車徒歩1分
・開館時間は午前9時~午後4時30分(月曜日と年末年始を除く)
問合せ:上福岡歴史民俗資料館
(【電話】049・261・6065)
