- 発行日 :
- 自治体名 : 埼玉県三芳町
- 広報紙名 : 広報みよし 令和8年1月号
■れきしとくらし 第四十六回 サガヤマ遺跡 その(2)
本号ではサガヤマ遺跡の遺物について見ていきます。
サガヤマ遺跡では、約16平方メートルという狭い調査区から、約3万年前の旧石器時代の遺物が900点以上出土しました。出土した遺物のうちナイフ形石器は7点ありました。その7点のうち、5点は完成品として、この地に持ってこられたものですが、2点はこの場所で作られたものと考えられます。その根拠として、石器の周囲で出土した剥片が接合し、付近には敲石(たたきいし)も出土していることが挙げられ、この場で石材をたたいて石器を作っていた様子を伺うことができます。
出土した石器の原産地を調べると、ほぼすべてが伊豆半島の天城地区にある柏峠産の黒曜石であることがわかりました。柏峠は三芳町から直線距離でも100km以上離れています。町内の旧石器時代を主体とする藤久保東遺跡や中東遺跡も同様に、約3万年前頃は柏峠産の黒曜石を8割~9割程度使用していたことがわかっています。三万年前に柏峠産の黒曜石が主体となる傾向は、3遺跡のみの特異な点として注目されます。
さらに、ナイフ形石器のうち1点は千葉県の房総半島南端の嶺岡(みねおか)山地から取れる珪質頁岩(けいしつけつがん)を石材としていると考えられます。嶺岡山地産の珪質頁岩は三芳町で初めての出土であり、近隣の調査でもあまり例がありません。嶺岡山地は三芳町から直線距離でも約100km、東京湾を迂回するルートであれば150km近くもあり、黒曜石の産地と合わせて旧石器時代の行動範囲や交易を考える上で貴重な資料となりました。この石器は現在、資料館に展示しております。
サガヤマ遺跡はこれまでのところ、ごく限られた範囲のみの調査となっています。今後の調査でさらに広がる可能性があるかもしれません。
問合せ:文化財保護課
【電話】258-6655
