健康 歩こうよ! もろやま健幸ウォーキング 実施結果報告

昨年度埼玉医科大学グループと実施した「歩こうよ!もろやま健幸ウォーキング事業」の報告書が埼玉医科大学グループより提出されましたので内容を報告します。この事業には、町民57人(平均年齢62.3歳)が参加しました。
参加者は令和6年6月から令和6年11月の6ケ月間、1日8,000歩以上を目標に毎日歩き、1日30回のスクワットを週3回行いました。また、ウォーキング期間の前後で体力測定や血液検査を実施しました。
この事業により、大きく分けて3つの成果がありました。

1 歩数の増加
参加者の1日平均歩数が参加当初より1,037歩増加しました。また6ケ月間の歩数平均は8,166歩であり、目標としていた1日8,000歩以上を歩くことができました。

2 持久力・バランス能力・敏捷性(びんしょうせい)(方向転換や反応の速さ)・瞬発力・認知機能の改善
持久力を評価する6分間歩行距離測定、バランス能力と敏捷性を評価するFSST(4つのT字杖を十字に置いてまたぐ課題)、瞬発力を評価する下肢筋力テスト、認知機能テストで改善がみられました。このことからウォーキングとスクワットによる筋力トレーニングを行うことで筋力を増強することができたことがわかります。

また、過去の研究によると、1年間有酸素運動を続けることで、脳の記憶をつかさどる海馬(かいば)が大きくなると言われておりますが、今回の事業においてもウォーキングを続けることで認知機能が改善したことがわかり、有酸素運動が脳の働きに良い影響を与えることがわかりました。

一方で四肢の骨格筋量が減少していました。有酸素運動をしていると筋肉量が減少することがあると言われているのですが、その理由は、栄養源としての糖質が足りなくなり、筋肉のタンパク質がエネルギー源として使われてしまうからだと考えられています。筋肉量を減らさないために、歩く前には、水分補給だけでなくバナナやおにぎりを一個食べて糖質をとってから歩くと良いと考えられます。

骨格筋量は減少していましたが、持久力・敏捷性・瞬発力などの筋力(筋肉の出力)の増強効果は得られました。

3 中性脂肪の減少
事業開始前後の血液検査データを比較すると、6ケ月間で中性脂肪の値が減少しました。また、変化は大きくないものの、HDLコレステロール(善玉)値が増加傾向、LDLコレステロール(悪玉)値が減少傾向という結果となりました。このことからウォーキングとスクワットによる筋力トレーニングを行うことで、血中脂質検査データが改善し、その結果、動脈硬化や心筋梗塞の予防につながると考えられます。

■まとめ
ウォーキングと週3回のスクワットによる筋力トレーニングを組み合わせて行うことで、体力、認知機能、血液検査データが改善することがわかりました。つまり、運動習慣により、体力低下の予防だけでなく、生活習慣病や認知症を予防することが期待できます。忙しい毎日の中で運動習慣を作ることは難しいと感じる人もいるかもしれませんが、まずは今までより10分多く歩くこと「+1,000歩」を意識して、通勤通学にウォーキングを取り入れたり、階段を使うように心がけるなど、無理なく始めてみてはいかがでしょうか。また、スクワットは1日10回を3セット行うことで効果が期待できます。「テレビを見ながら1セット」、「イスから立ち上がるついでに1セット」実施してみませんか。

問合せ:保健センター
【電話】294-5511