その他 歴史散歩 第372回

■学校行事の歴史
学校行事の中でも修学旅行や運動会は、特に児童生徒の思い出に残る行事といえるでしょう。学校行事にはどのような歴史があるのでしょうか。
修学旅行は、明治19年(1886)に後の東京高等師範学校(現在の筑波大学)が千葉県銚子方面に11泊12日の「長途(ちょうと)遠足」を実施したのが始まりと言われています。これは立派な兵士を育てる「行軍(こうぐん)訓練」のため徒歩で行い、途中の自然や野草、気象などを観察し、記録したといいます。運動会も軍事のため、生徒の体格向上と集団訓練を目的としたものでした。しかし、その教育的効果は誰もが認めていたため戦後は軍事目的から性質を変えて、再開されます。
昭和33年(1958)、小・中学校の学習指導要領に「学校行事等」が教育課程に正式に位置づけられました。公式に学校行事が教育の一つと認められたのです。続々と再開されていた修学旅行は、列車が同時期に混雑するため、昭和34年(1959)から、修学旅行専用車両が生まれ、複数の学校が連合で修学旅行に行った時期もありました。
毛呂山町の小・中学校でも戦後、新教育制度のもと学校行事が始まりました。昭和24年(1949)に毛呂山小学校で学校行事が行われた記録が残っており、児童が自ら配役を決めて劇を行ったようです。熱心に児童が練習に取り組んだことに対し、担任教諭が「これが新教育下の学芸会」であると記しており、戦時中の戦争教育を目的とした学芸会と性質が異なることに感じ入っているようです。また、昭和25年(1950)に鎌倉方面に修学旅行に行ったこと、昭和28年(1953)には大運動会が小中学校合同で行われたことなどが、学校からのお知らせに記載されており、昭和20年代から学校行事が積極的に行われてきたようです。
昔も今も学校行事が子どもたちの教育に果たす役割が大きいことを実感していたのでしょう。歴史民俗資料館では毛呂山町合併70周年を記念して、写真展「学校って楽しいな!~昭和30年代の学校生活をふりかえって~」を開催しています。子どもたちの笑顔あふれる写真展をどうぞご覧ください。