くらし 【特集】里山の古民家でイタリア料理店

西原地区の里山の古民家に開店したイタリア料理店。オーナー夫妻は宮代町のこの場所に、どんな魅力を感じたのでしょうか。

立花さんは鉄道の駅からも主要道路からも離れた里山の中にイタリア料理店をオープンしました。その場所は、長い間、空き家になっていた庭つきの古民家でした。宮代のこの場所に、どんな想いで料理店を開いたのか、そして、どんなつながりが生まれているのかを紹介します。

■西原でイタリア料理店を開く
◇西原の畑の中で見つけた空き家
「ひと目見て、わぁ、いいなぁ、と思いました」立花さんは、その時をふりかえります。
2年前の夏、知人に案内された西原地区にある空き家は、昭和32年に建てられた平屋。60坪ほどの庭も建物もきれいに管理されていました。高い空に囲まれた畑や屋敷林の風景の中に建物はありました。
少人数の予約制で生産者の顔の見える料理店を開きたいと考えていた立花さんにとって、理想の建物でした。

◇ゆっくりと時間をかけて食事を楽しむ
立花さんは都内のイタリア料理店で働いたのち、10年ほど前に春日部駅東口に自分の店を持ちました。食材を作った生産者から直接、仕入れをするというスタイルのお店です。店を続けている内に、たくさんの農家と知り合いになりました。
生産者の話を聞いている内に一つの思いが芽生えてきました。食事をする場所の雰囲気も楽しんでもらいたい。畑は近くにあった方がいい。そんな思いです。

◇宮代の地に根を張る
立花さんは、春日部の店を閉め、西原で新しいスタイルのイタリア料理店を始めることにしました。完全予約制で、時間をかけてコース料理を楽しんでもらえる店です。
店の名前はイタリア語で「suolo e radice(スオーロ エ ラディーチェ)」、日本語で「土と根っこ」という意味です。今年2月にオープンしました。
「宮代の土地に根を張り、素敵な実をなし、喜びをみんなで共有できるレストランを目指す」という想いをこめたそうです。

■宮代の農と風景と食を楽しむ
◇農家の畑から料理は始まっている
立花さんのお店に野菜を提供している蛭田さんは、歩いて5分ほどの畑で循環型農法による野菜づくりを行っています。化学肥料や農薬を使わず、モミがら、枯葉、野菜残渣(ざんさ)などを資源化し、循環させていく農法です。
立花さんは蛭田さんから野菜づくりの話をじっくり聞きます。立花さんの料理づくりが、この段階から、すでに始まっているのがわかります。

◇里山を楽しむ小さな旅
普段から、ここでの食事を楽しんでいるという田中さん夫妻は、「ここでの食事は、特別な場所で大事な時間を過ごしている満足感があります」と話します。お店では町内の農家だけでなく、近所にある豆腐店「豆いち」の食材も提供されます。食材を作っている人に想いをはせ、会話も食事もすすみます。
「駅から歩いて約20分、歩いて来る方もいますよ」と立花さん。お客さんの中には「新しい村」に立ち寄った後、「農」の風景を楽しみながら歩いて来た、という方や、郷土資料館に寄って姫宮駅から電車で帰るという方もいるそうです。
食事だけでなく、宮代町そのものを楽しんでくれているのは嬉しいですね。

町外から来る方は、遠くの観光地に出かけなくても里山の中で静かに料理を楽しめる場所があることに感動するそうです。そんな話をきいていると、わたしたちにとっては当たり前な「農」の風景が、とても価値のあるものなのだ、と気づかされます。こうした場所が新しい村や生産者などと結びつき、宮代町の魅力として、外に発信されるのは素晴らしいことだと感じます。

問合せ:suolo e radice(スオーロ エ ラディーチェ)
宮代町西原401-1
【電話】0480-30-6385
※予約はHPからのみ