文化 シリーズ めっけたぁ!!おらがの文化財(109)~南房総市内の文化財を紹介します~

■市指定史跡
『西春法師(さいしゅんほうし)の入定塚(にゅうじょうづか)』
所在地:白浜町滝口(たきぐち)7200(白浜地区)
所有者:西横渚区(にしよこすかく)

□星になったお坊さんの墓
西春は、白浜村原田(しらはまむらはらだ)(現在の白浜町白浜)出身の江戸時代前期の僧侶(そうりょ)で、元の名前は武田長治(たけだちょうじ)といいます。長治は、空を飛び、海上を歩いて人々を驚かせる少年だったと伝えられており、16歳で漁師になったのち、19歳の時に清澄山(きよすみやま)(現在の鴨川市)へ登り、仏門(ぶつもん)に入りました。 僧侶になった長治は、名前を「西春」と改め、数年間にわたって諸国を巡り、高野山(こうやさん)や奥州(おうしゅう)で修行を積みました。29歳で故郷の白浜に戻ってきた西春は、人々を救済したいと願うようになり、300日間の木食行(もくじきぎょう)(穀物を断ち草木を食べる修行)を果たしたうえで、寛文(かんぶん)7年(1667)に31歳で、地下に作った石室(せきしつ)へ籠(こも)り、鉦(しょう)を鳴らしながら入定(にゅうじょう)しました。
入定の前に西春は、「土の中から鉦の音が聞こえなくなったら、3年後に掘り出して、堂内に安置してもらいたい。」と遺言(ゆいごん)を残していましたが、村人たちは掘ることを恐れ、遺体が埋められた場所を入定塚として祀(まつ)るようになりました。この入定塚の上には供養塔が立てられており、「西春法師位寛文七年三月十八日」と刻まれています。
なお、西春の魂は、天に昇り布良星(めらぼし)になったといいます。この布良星とは、真冬の空気が澄み真南の水平線近くに見える、カノープス(リュウコツ座α星)という恒星(こうせい)のことです。かつて村人たちは、海が時化(しけ)で荒れることを知らせるため、西春が布良星になって出現すると信じていたといわれ、現在でも、毎年4月15日に供養祭(くようさい)が行われています。

□公開
・常時公開。
・トイレなし。駐車場あり。

*マナーを守って楽しく見学しましょう。
*見学する時は、所有者・管理者の指示に必ず従ってください。

問合せ:教育委員会生涯学習課
【電話】46-2963