くらし いすみ市市制施行 20周年記念式典 市長式辞

私から、式辞を申し上げます。
始めに、オープニングで披露してくれた和太鼓凪と、外房チアリーディングクラブコースターズ99の皆さんに、お礼申し上げます。共に、公民館、B and G海洋センターで、活動している団体で、今は、世界で活躍しています。これからもお元気で活動してください。皆で応援しています。
さて、私が市長に就任して以来、公私にわたりご支援ご協力を頂きました、全ての皆様に、心から御礼を申し上げます。
平成の合併で、共通の万木城文化を持つ、旧夷隅町、旧大原町、旧岬町が、平成17年12月に合併しました。それぞれの町は個性ある文化を築いており「まるでモザイク模様のような合併だ」と言われました。当時、私は、岬町長で、地方の町が年々減らされる地方交付税で、展望が開けない閉塞感を脱するには、今しかないと考え、苦難の末、合併にこぎつけました。
平成17年12月、いすみ市長に就任した私は他の市町に負けない、市民が幸せに暮らせるいすみ市をつくろうと心に誓いました。合併当初の苦しい10年間を乗り越え、他の市に先んじた施策を打ち出し、その多くが実現できました。施策実現に賛同し、共に行動してくれた多くの市民、職員の皆様に、心から感謝申し上げます。
合併当初、4万3千人あった人口も、地政学的に中山間地域であり、働く場が少ないため、若年層の人口が流出し、現在では、3万4千人となりました。この間、市民の暮らし、満足度を高めることを市政の一丁目一番地と決め、若い人のための子育て支援、高齢者のための福祉、介護、地場産業の振興のための農業、漁業、商工業の振興や、食のまちづくりを通して、賑わいづくりに力を入れました。これが今では、全国的に実施している「食べて、歩いて、地域を知る、温泉ガストロノミーウォーキング」の開催につながり、次の時代の新しい観光になろうとしています。また、農業、特に米作りに新しい風を吹きこもうと、環境と経済の両立のもと、コウノトリを指標に地域と職員とで考え、無農薬米づくりに着手し、全国で初めて、全量無農薬米を学校給食に提供し、いすみ市の知名度を全国区にしました。
この20年間で、多くの人に出会い、たくさんの協力を頂き、たくさんの花を咲かすことができました。特に、本日、多大な功績で、表彰の栄に浴する皆様に、改めて、御礼申し上げます。物心両面で、支えてくださったことに感謝で一杯です。
市民、職員の努力が実り、多くの施策が、メディアに取り上げられました。市内外で、いすみ市の施策の評価は広がり、平成29年から9年連続、首都圏の自治体において、住みたい田舎第1位になりました。この結果、人口は徐々に社会増となり、多くの人が住み続けるまちになってきました。この成果は郊外店の進出につながり、国道128号線沿いの賑わい創出の起爆剤になりました。
この20年、市政の運営の基本は、市民目線のもと、市民の悩み、苦しみ、悲しみを自分のこととして受け止め、市民の笑顔と幸せな暮らしの実現に、全力で取り組んでまいりました。また、財政の厳しい中での出発であったことから新たに箱物は作らないと心に決め、施策は、市民直結の事業を中心に、進めてきました。今、住んでいる市民の、幸せな暮らしの実現を第一に、若い世代が安心して、子育てできる地域を目指しました。
更に、中山間地域のハンディを乗り越えて、新たな活性の道を開くため、高規格道路の早期着工に努力し、熊谷知事の決断で、今後、県と事業に対する検討会の準備が始まることになりました。私は、最短で、お金のかからない、茂原から広域農道を活用するルートがベストと考えます。
当地域は、農業、漁業、商工業が産業のまちで市民はこの歴史を受け継ぎ、誇りをもって働き、生活しています。しかし、他地域にくらべ、仕事も生活も厳しい状況にあることから、子育て支援や教育、福祉の充実に、全力で取り組んで参りました。これらの取り組みによって「住み続けたい街2025」で、県内自治体の中、第5位に選ばれました。
私は、自治体の果たす役割は、市民の生活と産業を守り、次世代に生きる子供達が、幸せに、暮らせるようにすることだと思います。この20年間、市政を担うことで、悩むことも多くありましたが、そのような時には、夜、本を読み返しました。そのひとつは、米沢藩の名君、上杉鷹山のまちづくりを書いたもので「今は苦しくつらい時にあるがみんなで力を合わせて、楽しく改革を進めていけば、必ず希望の夜明けが来る。その時まで頑張ろう。みんなで豊かな、米沢藩を作ろう」という内容で、上杉のまちづくりをわが身におきかえて、仕事を進めてまいりました。
市制施行20周年を迎え、今日まで苦楽を共にした市民、職員の皆様に心から感謝を申し上げます。浅学非才な私と共に歩んでくださった皆さんに、心から感謝いたします。共通の万木城文化の歴史を持ち、モザイク模様の個性的なまちが、縁あって合併し、この20年で、着実に成長発展し、自信と誇りをもって活動している姿を見ると合併して良かったと、誇らしい気持ちで一杯です。人口減少と進む高齢化の中にありますが、これからも、若い人も高齢者も全ての人が幸せに暮らし、住み続けられるまちになることを期待します。
いすみ市よ永遠あれ、いすみ市よ気高くあれ、いすみ市よ優しくあれと、心から願います。