- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県長柄町
- 広報紙名 : 広報ながら 令和7年12月19日号(NO.519)
■片頭痛の前兆
脳神経外科 西澤祐医師
国語の教科書にも登場する文豪で、現在では文学賞にもその名を遺す芥川龍之介は、片頭痛に苦しんでいたといわれています。芥川の遺稿『歯車』には、次のような記述があります。
「僕の視野のうちに妙なものを見つけ出した。妙なものを?―と云ふのは絶えずまはつてゐる半透明の歯車だつた。僕はかう云ふ経験を前にも何度か持ち合せてゐた。歯車は次第に数を殖やし、半ば僕の視野を塞いでしまふ、が、それも長いことではない、暫らくの後には消え失せる代りに今度は頭痛を感じはじめる、―それはいつも同じことだつた。」
片頭痛の症状は人によってさまざまですが、大きく分けると「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」があります。詳細はここでは省きますが、前兆のある片頭痛の診断基準の一つに、視覚・感覚・網膜症状などの前兆が現れる、というものがあります。芥川が『歯車』に記した体験は、まさに前兆を伴う片頭痛の典型的な経過と一致しています。
時代が違っても、病や痛みに苦しむ点は変わらないのだと思うと、私のような小市民はつい親近感すら覚えてしまいます。しかし、もちろん片頭痛は笑い事ではありません。
日常生活に支障をきたすほどの頭痛や嘔吐に悩まされ、仕事どころではなくなるという方も少なくないのです。現代においても片頭痛のメカニズムは完全には解明されていませんが、症状を改善する方法は徐々に確立されてきています。また、頭痛とひと口に言っても、すべてが片頭痛によるものとは限らず、別の原因が潜んでいる可能性もあります。
頭痛に悩んでいる方、ご自身の症状が気になっている方は、ぜひ一度受診していただければと思います。
問合せ:医療法人塩田記念病院
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