- 発行日 :
- 自治体名 : 千葉県長柄町
- 広報紙名 : 広報ながら 令和7年4月19日号(NO.511)
■大腸癌の基礎知識と検診の勧め
塩田記念病院 副院長 総合診療部外科部長 鈴木英之
大腸は右下腹部の小腸末端(回盲部)から始まり正面から見てぐるっとおなかを右回りして肛門につながる約1mの管状の臓器です。胃や小腸で消化吸収された食物の残りから水分を吸収して便として排泄する役割を担っています。口側から盲腸、上行結腸、横行結腸、下降結腸、S状結腸、直腸という名称で呼ばれています。ここに発生する癌が大腸癌です。欧米に多い癌でしたが、昭和以降日本でも食事の欧米化に伴って増加しており、2020年の統計では男女を合わせて部位別罹患数1位になり、毎年5万人以上が大腸癌で亡くなっています。早期の大腸癌は内視鏡治療や手術で治癒することが多いですが、進行癌になるとリンパ節や肝臓、肺などに転移を起こして手術だけでは治癒が困難になります。したがって早期に発見することが重要です。しかし進行癌になると右側大腸癌では貧血、しこりを触れるなど、左側大腸癌では便秘・下痢・血便などの症状が現れることがありますが、早期ではほとんど症状がないので検診で発見するしかありません。日本では40歳以上を中心に大腸がん検診が定められています。これは「便潜血検査」と呼ばれ、便に含まれる微量な血液を検出する方法で、少量の便を提出するだけの簡便で侵襲のない検査です。この検査で「陽性」の場合「要精密検査」となり大腸内視鏡検査を受けていただきます。みなさんも大腸癌を早期に発見するために定期的に大腸がん検診の受診をお勧めします。また、血便や腹痛、便通異常などの症状がありましたら、検診を待たずに医療機関を受診してください。
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