くらし 篠原先生の「幸福人生のレシピ」

「NPO法人自殺防止ネットワーク風」代表を務める篠原鋭一先生が、人生を楽しくするレシピをご紹介します。

■幸・不幸は整える条件によって決まる
『この幸福がいつまで続くだろうか』と悩む女性に…。
幼子(おさなご)の手を引いたN子さんが、問いかけました。
「今、私、すごく幸せなんです。やさしい主人とこの子と三人の平凡な家庭ですが、とても満足しています。でもときどき不安になります。〝この幸せがいつまで続くのだろうか?〞って。このまま、ずーっとずーっと幸せが続いてほしいってすごく思います。私、欲張りでしょうか?」
すぐさま答えました。
「欲張りなものですか。いつまでも幸せでありたいと願うのは、人間なら当たり前のことです。
ところでN子さん、あなたが〝今幸せだなあ〞と思えるのは、なぜだかわかりますか?」
「〝今幸せだなあ〞となぜ思えるか?―さきほど申し上げましたように、やさしい主人がいて、かわいい子どもいて、お金持ちではないけれど、毎日の生活にそれほど不自由しているわけでもなく、それに何より健康です。つまり、幸せと思える条件が整っていますから…。」
「そこです。今あなたは、幸せの条件が整っているとおっしゃいましたね。その通りなんです。今幸せと思える条件が整っているということは、あなた方が、今日まで幸せになることができる条件を整えてきたからにほかならないのです。だから今日、幸せなんです。
もし、不幸になる条件を整えていたら、きっと今日は、不幸の中にいるでしょう。
さきほど、これから先もこの幸せが続くかなって、不安になるともおっしゃいましたね。
今日ただいまから、あなたやご主人が幸せになるための条件づくりにはげめば、幸せは続きます。
来年の今日、今と同じように幸せでありたいのなら、そうなるための条件をご主人とともにたくさん整えることです。
いいですか、もう一度いいますよ。今日の幸せを持ち続けたいと思うなら、純粋な心でおこたることなく、幸せの条件を整え、それをいくつも積み上げていくよりほかに方法はありません。来年の今日幸せでいたいと願うなら今日からどのような条件を整え、どのような条件を整え積み上げるかによって幸福か不幸かの結果がちゃんと現れます。ご主人と二人でじっくりと考えてみることですね。」
「幸せになるための条件をどれだけ整えられるかということですね。」
N子さんの腕の中で、幼子が安心しきって眠っています。

○篠原鋭一(えいいち)氏
1944年兵庫県生まれ。駒澤大学仏教学部卒業。
千葉県成田市曹洞宗長寿院住職。曹洞宗総合研究センター講師。
同宗千葉県宗務所長、人権啓発相談員等を歴任。
「NPO法人自殺防止ネットワーク風」代表。
公立の小学校・中学校・高等学校を巡り「いのちを見つめる」課外授業を続けている。
「生きている間にお寺へ」と寺院を開放。
「少年院」「拘置所」で特殊詐欺犯罪の結末を説き続けている。