- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都千代田区
- 広報紙名 : 広報千代田 令和7年(2025年)11月20日号No.1652
区では小笠原村教育委員会との協定に基づき、区立中学校の生徒を小笠原村に派遣しました。小笠原村の人々と交流を深めるとともに、世界自然遺産である貴重な自然や戦争の舞台となった歴史、独自の伝統を築いてきた文化などを学習しました。
■事前学習
◆第1回事前学習会
◇「小笠原について理解を深める」をテーマに小笠原村観光局の職員をお招きし、講義を受けました!
小笠原では捕鯨が行われていたり、ウミガメの肉が販売されていたりするなどの独自の文化があり、昼休みが長いためサーフィンやボートを楽しむことができるという生活習慣も特徴的です。陸産貝類の固有種率が94%を占める自然の豊かさや環境保全への取り組み、大航海時代に発見されたことや欧米人を含む移住民の歴史も学びました。講義を通じて小笠原の魅力を再認識し、現地を訪れたいという気持ちが強まりました。
◆第2回事前学習会
◇実際に見る・触れることで小笠原をより身近に感じるために、葛西臨海水族園を訪れました!
小笠原の海に住む固有種や海洋環境について水族園の職員から講義を受け、展示されている小笠原近海の生き物を観察しました。事前に調べていた固有種のアカハタやユウゼンなどを実際に見ることで発見と感動があり、水族園が小笠原の生態系調査や自然環境保護に関わっていることも知ることができ、理解が深まりました。小笠原の海で泳ぐ際、生き物を間近で観察するのが楽しみになりました。
◆第3回事前学習会
◇3班に分かれて、各班のテーマに沿った学びを進めました!
当日の学びをより深めるため、フィールドワークで訪れる場所の情報を事前に調べ、疑問に感じたことを話し合いました。
■体験学習
◆みんなで学びました!
◇フラダンス体験、小笠原の中学生との交流
小笠原のフラダンスはハワイのフラをもとにしながらも、小笠原の自然と人々の暮らしに調和した「ローカルフラ」です。波や風、鳥の声などの自然音や地元の音楽を取り入れた曲も多数あり、地元の中学生から踊りを教わり、最後には一緒に練習の成果を披露しました。その後の交流タイムでは、お互いの暮らしや学校生活について語り合い、小笠原ではカラオケなどがないため、普段から海や山で遊ぶなど同じ中学生でも日常生活が全く異なるという彼我の違いを学ぶことができました。
◇シュノーケリングand南島
兄島海域公園ではシュノーケリングで沈没船を見たり、イルカと泳いだりと貴重な体験をしました。その後上陸した南島は、国の天然記念物に指定され、立ち入りが制限されている場所もあります。砂浜では珍しいカタツムリの貝や絶滅種の化石が見られ、カツオドリやウミガメの赤ちゃんを観察。大切に守られてきた自然や生態系に触れ、南島のすばらしさを実感しました。
◇ビーチクリーニング
皆で協力して海岸の清掃活動を行いました。小笠原はきれいな海や砂浜というイメージがありますが、ビーチによってはマイクロプラスチックや大きな縄などのごみが海岸に漂着し、自然環境や海の生き物に悪影響を与えている現状を実感しました。千代田区に住む私たちが出すごみが、小笠原の美しい自然や人々の生活に影響を与えている可能性に気付くことができました。
◇小笠原海洋センター
ウミガメの生態や歴史、現状を学びました。個体数が減っているアオウミガメをはじめ、小笠原の生き物を保護するために調査や飼育などの取り組みが行われていることを知りました。生まれてすぐの子ガメや大きなウミガメと触れ合う、貴重な体験をしました。
◆班ごとに学びました!
◇自然・環境学習班
東平アカガシラカラスバトサンクチュアリーを訪れ、固有種であるアカガシラカラスバトを守る取り組みを学びました。
アカガシラカラスバトは外来種の侵入などで、個体数が減少傾向にあったため、入り口近くに外来種除去のための足ふきマット、案内看板、人数カウント装置があります。こうした取り組みにより、種子除去装置で外来種の侵入を防ぎ、住みやすい環境を作っています。これらの成果もあり、個体数は増加しています。
◇平和学習班
米軍の魚雷攻撃を受けた沈船や墜落機、砲台、陣地戦跡群などの戦跡を目の当たりにし、戦争の悲惨さを学びました。当時のまま残る大砲などを通じて、戦時中と現代がつながっていることを感じることができました。戦跡は戦争の悲惨さを訴え、平和の尊さを教えてくれる重要な遺産であり、実際に訪れることで得られる学びが多く、非常に貴重な経験となりました。
◇歴史・文化・生活学習班
戦時中に飛行場として使用された洲崎を訪れ、1990年代から起こった洲崎航空路建設問題の説明を受けました。航空機を飛ばすには滑走路が約1,000m必要とされ、そのためには崖を切り崩すなどの整備が必須となりますが、病人の緊急搬送などの良い面もあれば、自然破壊というマイナス面もみられることから、現在も協議は続いています。実際に訪れることで洲崎周辺の自然に圧倒されるとともに、自然保護の重要性を学べました。この体験を通じて利害が対立する問題の合意点は一筋縄ではいかないことを痛感しました。
■事後学習後
2回にわたって、報告会で使用する発表資料を作成しました。
■報告会
事後学習会で作成した発表資料をもとに、体験学習の成果を教育委員会で発表しました。
◇担当者からのコメント
丁寧にまとめられた発表資料を基に、保護者や教育委員、オンラインでつないだ小笠原村教育委員会など大勢が見守る中ですばらしいプレゼンテーションを行ってくれました。クイズを交えたり、動画を用いたりとそれぞれの班で聴衆を引き付ける発表となるようさまざまな工夫が見られました。
問合せ:子ども総務課子ども総務係
【電話】03-5211-4273
