文化 北斎名品コレクション(72)

すみだ北斎美術館に収蔵されている北斎の名品をご紹介します。

◆葛飾 北斎「潮来絶句集(いたこぜっくしゅう)」(版本)
本書は初代蔦重の跡を継いだ二代蔦重が出したもので、当時流行していた潮来節(いたこぶし)という俗謡を題材に、文人の富士 唐麻呂(ふじの からまろ)が狂歌とその意訳の漢詩を、北斎が挿絵を手掛けた本です。唐麻呂の随筆によると、美しい彩色で摺(す)った本書は、幕府の奢侈禁令(しゃしきんれい)に触れ、蔦屋の番頭忠兵衛(ちゅうべえ)が奉行所に召し出されて、手錠の刑に処せられました。禁令の中、このような本を出した二代蔦重も、取り調べで作者を聞かれても正体を明かさなかった番頭忠兵衛も気骨があったといえるでしょう。本作は企画展「北斎×プロデューサーズ 蔦屋重三郎から現代まで」の後期で展示しています。

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問い合わせ:文化芸術振興課文化芸術担当
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