くらし 【特集】知っていますか?めぐろの都市農業(1)

かつては、畑や水田が広がる農村地帯だっためぐろ。
土を耕し、種をまき、愛情を込めて育てる営みは、都市農業として現代に受け継がれています。
知られざる「めぐろの都市農業」の魅力に迫ります。

■めぐろの都市農業の魅力
◆心地よいまちにある大地の恵み、その豊かさを未来にも。
めぐろのまちに点在する農地は、「まち」と「農業」をつなぐ場所。ただ作物を育てるだけでなく、地域に根差したイベントを開催するなど、今ある農地を守り続けるための取り組みが行われています。

▽新鮮さがすぐ近くに!
消費地の近くで栽培しているからこそ、採れたての新鮮な作物が直売所などで手に入ります。

▽農業に親しむ収穫体験
都市部でありながら、気軽に農業を体験できる点も魅力。自分の手で収穫したからこそ、そのおいしさは格別です。

▽自然・緑に触れられる
豊かな植物や土壌などに触れられる農園。子どもたちにとっては、自然を体験できる貴重な学び場です。

▽新たなコミュニケーションの創出
収穫体験などに、子どもから高齢者までさまざまなかたが参加。農家とのコミュニケーションも生まれています。

■江戸時代から受け継がれるこの農地を守っていきたい。
◆碑文谷の農家さんの声
織戸農園では、エダマメやジャガイモ、ダイコンなどを育て、数カ月ごとに収穫体験を開催しています。江戸時代から代々受け継がれてきた場所で、碑文谷では唯一残っている農地です。毎年、近隣の学校給食用にダイコンを提供していて、子どもたちがおいしそうに食べてくれるのは、やっぱりうれしいですね。都市で農業を続けていく上で大切なのは、自分の暮らしのペースに合わせて、柔軟に農業の手法や内容を変えていくこと。これからもこの場所を守り続けていきます。

織戸農園 織戸勇一さん

■農業をもっと身近に、都市で土に触れる体験を。
◆収穫体験
「区民の皆さんに都市農地に触れてもらい、その大切さを感じてほしい」。そんな思いから、区と農家が協力して収穫体験を開催しています。身近な野菜や果物がどのような形で育っているのか、見て触って実感できる貴重な機会です。参加者からは「遠くへ行かなくても、区内でこのような体験ができるのはありがたい」などの声が寄せられています。都市農地の保全にもつながることから、今後も定期的に開催する予定です。

■自慢の逸品がここに集う!
◆農産物品評会
例年、夏季と秋季の年2回開催している農産物品評会。区内の生産者が手塩にかけて育てた野菜や果物などが出品され、審査員によって優秀作品が選ばれます。評価の基準は、熟度・そろい・表面の状態などさまざま。品評会後に即売会で出品作品が購入できます。体育館外では、農産物の販売も実施。新鮮で安心安全な品物を安価で購入できるとあって、毎回多くの来場者でにぎわいます。

▽夏季農産物品評会の日程
日時:06月14日(土)
場所:碑文谷体育館

※売り切れ次第終了

■「めぐろで葡萄ですか?」という驚きを大切にしたい。
◆ブドウ農家さんの声
よく驚かれますが、都内で珍しく葡萄(ブドウ)を生産し、収穫体験(※)を開催しています。こだわりは、その品種。さまざま食べ歩き、めぐろの土壌に合ったものを厳選しました。ブドウだけでなく、近年力を入れているのは、フランス料理で用いられる果物フィンガーライムの栽培。農業祭での受賞や都内ホテルへの提供など、好評いただいています。今は直売だけですが、いずれは販路拡大にも挑戦したいですね。
※生産状況により、収穫個数を制限する場合があります

根岸ぶどう園 根岸幸司さん・優子さん

■めぐろの野菜をめぐをめぐろで食す。
◆地産地消
めぐろの畑で採れたみずみずしいダイコン。その一部を、学校給食用として区立の全小・中学校やこども園へ無償提供する取り組みがあります。給食に出される田楽や味噌汁などのさまざまなダイコン料理は、いわゆる「地産地消メニュー」。子どもたちは、地元で採れた野菜のおいしさを味わうことができます。生産者との交流も行うこの取り組み。生の声を聞いて、子どもたちが地産地消や都市農業について知るきっかけとなっています。