くらし 葦立ち(あしだち)

今回の特集は「足立区のお酒」。毎回特集に絡めて「葦立ち」を書いているので、今回は正直なところ困り果てました

決して強い方ではありませんが、お酒は好きです。ワイン、特に渋い赤が好みです。ワインにハマったのは警視庁の警察官時代、国際捜査課に配属になったことに端を発します。在籍の4人の女性警察官に任された仕事は、海外で盗難に遭った美術品の捜査でした。国際手配書を持って画廊や美術商を1軒1軒、足を棒にして聞き込みに回りました

当時の日本ではゴッホや印象派が人気で、外国からの捜査官の来日もあり、「ワインの基礎知識を習得せよ」と上司から指示が飛びました。日本ではまだ国産のワインですら一般的ではない時代でした。教室に通ったり、くわしい友人に教わったりしているうちに、その魅力に引き込まれたのです

昭和の当時、「酒は吐けば吐くほど強くなる」などという、今では通用しない理屈も周囲にまかり通っていました。とはいえ、今も春先になると報じられる、急性アルコール中毒による救急搬送のニュースを見聞きするにつけ、雰囲気にのまれ、追い詰められてしまうケースもあるのではないかと危惧します。体質も適量も人それぞれです。無理強いは絶対に禁物。お酒は楽しくおいしく嗜(たしな)みましょう。

足立区長 近藤やよい