くらし 手のことば 手話をしっていますか

■(仮称)町田市手話言語条例の制定を目指しています
手話は、耳がきこえなかったり、声を出して話すことが難しい聴覚障がいのある方が、手の動きや表情などを使って意思を視覚的に表現する視覚言語(手のことば)です。
市では、手話を必要とする聴覚障がいのある方々が、手話を使いやすい環境をつくり、安心して生活することができる社会の実現に向けて取り組みます。
今回は、町田市ゆかりのデフアスリートの皆さんに、手話に関するお話を伺いました。
※詳細は本紙をご覧ください。

○手話言語条例とは?
手話を一つの言語として尊重し、その普及や利用を促進するための条例です。

○この条例で、どのような社会を目指すの?
手話を大切な言語として尊重し、聴覚障がいのある方への理解を深め、手話の普及を進めます。また、聴覚障がいのある方がより快適に生活できる環境を整え、障がいの有無にかかわらず、お互いを理解し支え合える地域社会の実現を目指します。

本紙2面で町田市ゆかりのデフアスリートへのインタビューを掲載
デフ(Deaf)は、英語で「耳がきこえない」という意味です。

■手話で伝えてみよう 町田市ゆかりのデフアスリートの皆さんへインタビュー!
11月15日~26日に東京2025デフリンピックが開催されました。100周年記念となった今大会に出場した町田市ゆかりのデフアスリートの皆さんに、日常生活や競技での困り事とその解決方法、手話言語条例に期待する思いを伺いました。

デフリンピックは、4年ごとに開催される「きこえない、きこえにくい人のための国際総合スポーツ競技大会」です。

◆手話をどのように学びましたか。
○ビーチバレーボール 堀 花梨 選手
2、3歳の頃から母に簡単な手話を教えてもらい、言葉がうまく言えない時などは、簡単な手話で会話をしていました。高校でろう学校に入学してからは、友達や先生が手話を教えてくれました。

○オリエンテーリング 辻 悠佳 選手
小学校では難聴学級で他の児童とコミュニケーションを取るために、簡単な手話を学びました。その後、大学進学をきっかけに本格的に手話を学習し、学内の手話サークルの運営や地域の手話サークル活動を通して語彙(ごい)力や表現力を高めました。言葉の響きが届かなくても手話を通して相手の思いを感じ取り、自分の思いを伝えることができます。

◆日常生活や競技での困り事はありますか。その困り事はどのように解決していますか。
○堀選手
幼い頃から言葉をうまく発音できないことがあり、相手に伝わらない時は、物を指差ししながら伝えるか、スマートフォンにメモを打って相手に見せて伝えるなど、工夫をしています。コーチとコミュニケーションを取る時は、口元が分かるような方向で、できるだけ大きい声で話してもらったり、どうしてもきき取れない時は、ペアの選手に手話通訳してもらったりしています。

○辻選手
聴覚情報に依存する環境下では、意思疎通に困難を感じる場面があります。視覚的な情報掲示や手話通訳、文字情報などの合理的配慮をいただくことで、より円滑なコミュニケーションが取れます。仕事の会議ではライブキャプション(音声を自動的に文字起こしし、字幕として表示)の併用、大会会場のアナウンスはLINEのオープンチャットを併用することで解決しています。

○バレーボール 佐藤 愛莉 選手
4、5歳の頃から、人工内耳を装着しているので、きこえる時ときこえない時の環境には慣れています。人工内耳は、電子機器なので、だいたい12時間くらいで充電が切れます。デフリンピックは、必ず人工内耳を外さないといけないルールになっているので、外して練習しています。試合の時は、その場でコミュニケーションがすぐ取れないので、前もって約束事を決めて動いています。

○陸上(マラソン) 山中孝一郎 選手
日常生活では、車内放送のアナウンスなどがきき取れないので、内容が分からず次の行動ができない時があります。例えば、地震の時は感覚的に分かりますが、火事の時は、においに気付かないと反応が遅れてしまいます。競技面では、事前に練習メニューを確認すればいいので困ることは少ないです。レース中は、応援してくれる人がいても声援をききとることができませんが、目で応援を感じています。

◆今後、制定される手話言語条例にどのようなことを期待しますか。
○山中選手
手話が言語であるという認識を皆さんがより深められると思います。手話を通じて、聴覚障がい者に対する情報保障が改善されることを期待します。

○佐藤選手
条例ができ、手話が言語であるという理解が高まることで、自分の中でも理解が得られず苦しい思いをしなくていいのかなと期待しています。

○堀選手
手話は、きこえなくても声を出せなくても会話ができ、相手にも伝えることができる大切な言語の一つだと思います。聴覚障がい者が少しずつでもスムーズにコミュニケーションを取れるようになれば、今までより過ごしやすい生活になると期待しています。

○辻選手
ニュージーランドでは、手話が言語として公式に認められています。聴覚障がいのある人とない人を分けることなく、日常的に自然に交流する場面が多く、訪れた際に感動しました。日本でのデフリンピック開催後も、誰もが自分の言葉で表現し、互いを尊重しながら共に生きられる社会の実現に向けて、手話言語条例がその大きな支えになることを期待しています。ぜひ、町田らしい独自の取り組みを進めて全国に広めていってほしいです。

■(仮称)町田市手話言語条例 今後のスケジュール
条例の制定に向けて、準備を進めていきます。
2025年度 検討事項の確認・アンケートの実施
2026年度 条例の基本理念や条文について検討
2027年度 パブリックコメントを実施、条例制定

■つながる、ひろがる、共に生きる 12月3日~9日は障害者週間
障がいへの理解を深めることを目的に、障害者週間に合わせてさまざまなイベントを開催します。詳細は市HP(本紙二次元コード)をご覧ください。

○心のバリアフリーの日
町田商工会議所と共催で、市内の協力店に、どなたでも気がねなく訪ねてもらい、誰もが安心してまちに出られる一日を目指します。
日程:12月3日(水)
場所:市内の協力店

○デジタル技術を活用したスポーツ体験・交流ブース
障がいのある人が自身で操作できるよう加⼯・開発された福祉用具等を用いて行うeパラスポーツや、コントローラー等を使って、体を動かすバーチャルスポーツ体験ができるブースを出展します。
日時:12月1日(月)午前9時30分〜午後4時
場所:みんなの広場(市庁舎1階)

○みんな笑顔の展覧会
市内の障がい福祉施設と連携し、障がいがある人の絵画や工作等を展示します。
日時:12月1日(月)〜5日(金)、午前8時30分〜午後5時(1日は午前9時30分から、5日は午後4時まで)
場所:イベントスタジオ(市庁舎1階)

■前号のクイズの答え
クイズは広報まちだ11月15日号に掲載
正解は…「がんばれ!」
両手で拳を作り、2回下ろします
※詳細は本紙をご覧ください。

本紙6面で手話に関する講座「手話で伝わる喜びと魅力を体験!」を掲載

問合せ:障がい福祉課
【電話】724-2148【FAX】050-3101-1653