- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都あきる野市
- 広報紙名 : 広報あきる野 2026年2月1日号
「ツキノワグマは」
2025年の秋は、全国(特に東北地方)でツキノワグマ、北海道でヒグマの出没とそれに伴う受傷事故(死亡事故も)が多発し、過去最多と言われていました。これまで地方自治体で対応してきたクマ対策も国のレベルで対応する事態に発展しました。
マスコミの報道などを見ていると「クマが増えすぎた」と報道されることが多くありますが、クマ問題の要因は多々あると思います。過疎により人間生活の自然へのアプローチ(圧力)が少なくなり、クマの行動圏が人里に近づいていることも要因の一つだと考えます。しかし、過疎地を通り越して市街地への侵入事件も沢山ありました。クマの目線で見ると、越冬(冬眠)を前にして十分な栄養を摂っておく必要があり、食べ物が手に入る場所を探して見境なく行動していると理解できます。
しかし、なぜ2025年秋に急に餌を探すクマが市街地まで行動範囲を広げたか、あまりよく分かりません。ここでアーバンベアーと呼ばれるクマが注目を集めます。過疎化した人の生活圏に近いところで育ったクマが独り立ちした後、人を怖がることなく人間の生活圏に侵入するものを指します。本来、クマは臆病で人との接触を嫌い、奥山で静かに暮らす動物ですが、このアーバンベアーはそれらのクマとは違うと考えた方がよいようです。
これは、私見ですが、秋のクマの行動変異(市街地出没など)は、ナラ枯れ病(カシノナガキクイムシによる加害)が関係しているのではないかと考えます。盛夏にコナラなどのブナ科の大木が葉を赤くして枯れる症状です。あきる野でも2023年頃からコナラの枯損が目立ち、2024年にピークとなり昨年からは収束傾向になりました。昨年の全国のナラ枯れ被害を見てみると、被害地域が北上して北関東の被害が拡大しています。同じように東北地方でも山形県、秋田県、岩手県、青森県でナラ枯れ被害が拡大傾向にあり、それぞれの県で「ナラ枯れ」の注意喚起が行われています。ナラ枯れの拡大は昨年1年に始まったことではなく、数年前から徐々に広がり、累積で沢山のドングリの枯損「ナラ枯れ」が広がったことになります。そこで昨年、ついに限界に達して越冬を控えたクマ達は山での採食をあきらめて行動が市街地まで広がったと考えることもできます。
自然事象は色々な要因が複雑につながっていて、思わぬところで私たちの生活に重大な結果をもたらすことがあると思います。
(杉野)
