イベント 金澤歴史 万華鏡~県立金沢文庫へのいざない

■第七十回 『徒然草』に歴史あり
県立金沢文庫 学芸課長 道津 綾乃(どうつ あやの)

中学生の古典の教科書に出ていた『徒然草』(つれづれぐさ)。副読本には、ひょうきんな帽子をかぶった作者・兼好法師(けんこうほうし)の肖像画や、へんてこな器をかぶったお坊さんが宴会の中心で踊る絵が載っていたのを覚えています。
大人になり、奇跡的に金沢文庫の職員になった私は、本当に驚いたのです。あの絵はどちらも、金沢文庫所蔵だったとは!そしてまさか自分が、徒然草展を企画することになろうとは!!
金沢文庫の徒然草資料の収集は、第二次世界大戦後すぐに本格化しました。一九六〇年の「兼好法師資料展」の展示目録序文には、この収集事業に「終戦後特に(中略)努力してきた」とあり、当館が敗戦を乗り越えるための事業でもあったことがわかります。
今年は金沢文庫開館95周年。歴代の司書や学芸員がコツコツと集めたコレクションを、ぜひ味わいにいらしてください。

企画展「斜読徒然草(ななめよみつれづれぐさ)―近世読書のたのしみかた」
日時:5月23日(金)~7月13日(日)9時~16時30分(入館は16時まで)
費用:一般250円(150円)、20歳未満・学生150円(100円)、65歳以上・高校生100円、中学生以下・障害者は無料
※( )内は20人以上の団体料金
休館日:毎週月曜日

問合せ:県立金沢文庫(金沢町142)
【電話】701-9069【FAX】788-1060