- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県川崎市
- 広報紙名 : かわさき市政だより 2025(令和7)年11月1日号
市は、バスや電車などの公共交通による交通アクセスの良さが特徴の一つと言えるまちです。しかし今、運転手不足などによって、全国的に公共交通は非常に厳しい現状にあり、市もその例外ではありません。今号は、私たちの移動手段を維持するために市が行っている取り組みと目指す将来像を紹介します。あなたも一緒に公共交通の未来について考えてみませんか。
■「便利なまち」を支える公共交通の今
◇市民も実感!充実する交通網
市内にはJR南武線が縦断し、南武線と交差する形で複数の鉄道網が横断的に展開しています。さらに幹線道路も横断するなど、都心部や周辺都市へのアクセスが充実しています。また、鉄道網が通っていない地域ではバスが移動手段を担っているほか、4年度には多摩川スカイブリッジが開通したことで羽田空港へのアクセスが向上するなど、市全体で公共交通を便利に利用できる環境が整っています。
それは市民が抱く市のイメージにも表れていて、6年度川崎市民アンケートでは、交通に関連する生活環境について7割以上の市民が「満足」と回答しているほか、6年度川崎市都市イメージ調査でも、市について当てはまるイメージを選ぶ設問で約半数の市民が「便利」と回答しています。
◇一方で…地域で異なる実情
東扇島地域へのアクセスがバスに限定される南部。山や坂が多く、路線バスが入り込めない地域がある北部。地域によって課題はさまざまで、取り組むべき内容も異なっています。
◇さらに…年々減少しているバス便数
市の人口が増加している一方で、バス便数はピーク時の約8割まで減少しています。
バス便数の減少には、運転手不足や高齢化といった問題が影響しています。今後も、運転手が不足することでバス便数が減り続けると、利用者も減ってしまうと考えられます。その結果、公共交通の維持がますます困難になる可能性もあり、地域の移動手段や日常生活に大きな影響を及ぼすと考えられています。
・市人口とバス便数の変遷
市人口
H29:149.6万人
R7:155.3万人
市人口は増加傾向が継続
バス便数
H30:12,400便/日
R7:9,900便/日
バス便は減少傾向
市内バス便数:2,500便/日(約20%)減少
平成30年度(ピーク時)と令和6年度の比較
■企業や団体と協力して行っているチャレンジ
バス便数の減少や地域ごとの課題に対応するためには、さまざまチャレンジを行う必要があります。しかし、そのチャレンジは市だけで行うには限界があります。そこで、市や企業、団体など、さまざまな立場の人が従来の枠組みを超えて、「公共交通を維持する」という共通の目標に向かって、チャレンジを行っています。ここでは、新しい技術を活用した取り組みや、運行開始から10年以上が経過し、地域に根付きつつある取り組みなどを紹介します。
◇自動運転バス
運転手不足や減少するバス便数に対応していくために、自動運転バスの実証実験を川崎鶴見臨港バスと進めています。
大師橋駅と天空橋駅の都県をまたぐ「羽田連絡線」と、川崎駅と市立病院を結ぶ「川崎病院線」の2つのルートで実証実験を行い、9年度に運転手の介入が原則不要の運行の実現を目指しています。
・川崎鶴見臨港バス 赤司さん
自動運転バスは安全のために実験の2カ月前から準備を重ね、当日の朝は必ず試走をするなど、入念に調整を行って運行しています。人間の運転と違い、不測の事態への対応が難しいことから、特に実証実験のバスが走る付近では、路上駐車や飛び出しをせず、交通ルールを守ってほしいです。自動運転バスに限らず、これからもバスを身近な乗り物として利用してください!
◇コミュニティ交通
路線バスの運行のない地区や減少するバス便数に対応し、地域の移動手段として導入を進めているのがコミュニティ交通です。地域の人が主体となって協議会を設立し、運行しています。停留所などから運賃を払って利用することが可能です。
多摩区長尾台地区を10年以上運行するあじさい号の成功例を踏まえて、多摩区や麻生区、宮前区といったさまざまな地域で実証実験を行っています。
・あじさい号協議会幹部の皆さん
学生から高齢者までさまざまな人に乗車していただいて運行しています。これからも利用者の声を聞きつつ、より使いやすくなる工夫を進めていきます。
・利用者の声
坂の多い地域での、徒歩や自転車は大変なのでとても助かっています。
朝の通勤や病院への通院など、生活に欠かせない存在になっています。
◇シェアサイクル
バス以外の移動手段として、電動アシスト自転車で移動できるシェアサイクル「HELLO CYCLING」があります。市内各地でシェアサイクルの設置が進み、公共施設や商業施設などさまざまな場所で利用することができます。市内外を問わず自由に乗り降りができ、短い時間から利用可能です。
・シェアサイクルの使い方
アプリの登録方法など詳細は市ホームページで。
1:アプリをダウンロード
スマホに「HELLO CYCLING」アプリを入れて会員登録
2:探す・予約する
地図で近くの借りる場所を探して、自転車を予約
3:自転車を借りる
借りる場所でアプリで開錠して出発
4:返却する
目的地の近くの返却場所に戻して完了
問い合わせ:建設緑政局自転車利活用推進室
【電話】044-200-2769【FAX】044-200-3979
◇その他の取り組み
・デマンド交通…決まったルートはなく、利用者の予約に応じて、AIの技術を活用し運行する交通サービスで、柔軟な移動が可能です。川崎区と中原区、高津区の一部で実証実験を行います。
・モビリティハブ…異なる移動手段の乗り換え拠点です。新しい交通拠点として、にぎわいや憩いの空間をかね備えた身近な場所を目指しています。川崎区と高津区で実証実験を行います。
各取り組みの詳細は市ホームページで。
