- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県鎌倉市
- 広報紙名 : 広報かまくら 2025年6月1日号
「Society5.0」の時代をしなやかに泳ぐ子どもたちを育む
鎌倉市教育委員会
■第20回キーワードは「炭火」と「学習者中心の学び」
高橋洋平(教育長)
鎌倉市の教育の大きな方向性を示す「教育大綱」を4月に策定しました。
目指す姿(ビジョン)は「”炭火”のごとく誰もが学びの火を灯し続け、生涯にわたり心豊かに生きられるまち鎌倉」。
炭火は、最初は火がつきにくいかもしれませんが、一度火がつくと、長く燃え続け、周りにもじわじわと広がっていきます。変化が激しく不透明なこれからの時代でも、生涯にわたって内なる学びの火を燃やし続け、学びによって幸せになってほしいという願いを込めています。
こうした炭火のような学びを目指すための行動指針(コンパス)として「学習者中心の学び」を掲げています。
私たち教育関係者は時として教える側の視点に立ちがちですが、学ぶ側の視点に立ち、学習者が自ら学びをつかみ取っていくことを大切にしていきます。
「学習者中心の学び」は3つの視点で語られます。(1)一人として同じ子どもはいないことを前提とする「個の多様性の視点」、(2)自らが学びのハンドルを握り、主体的に学びをつかみ取っていく「自己決定の視点」、(3)安心して学びに向かえる「巧妙な環境設計の視点」です。
「学習者中心」の種は、すでに本市の教育実践の伝統の中に息づいています。チャイムが鳴っても冷めやらない様子で学んでいる姿、自発的に子ども同士で教え合っている姿、「歴史ニュース番組を作ろう」とタブレットを使って自分たちで調べ、番組制作をしている姿など…。この教育大綱の内容について各学校と対話する中でも、子どもたち自身が学びのハンドルを握り、頭をフル回転させて「学習者中心」で学ぶ姿をたくさん見聞きしてきました。
これは行儀よく先生の話を聞き、同じことを同じようにできるようにする授業とは異なる教室の風景だと思います。これから未来を生きる「学習者」の視点に立つという、鎌倉市の新たな教育を応援していただければと存じます。
このような学習者中心の学びを行うためには、学校の環境改善や教職員が学ぶ余白も必要です。教育大綱に基づく関連施策も、一層推進していきたいと思っております。
ここまで、「学習者」として子どもを前提に語ってきましたが、大人も含めた誰しもが学習者です。子どもだけではなく、大人も学びによって幸せになる鎌倉市を目指していきたいと思っています。
教育委員会の取り組みを紹介する、「進メ、鎌倉ペンギン」
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