その他 鯖江でがんばる あの人の笑顔と素顔 vol.32

ゲートキーパー ザ・かーちゃんズ 会長 梯(かけはし)弘子さん(74)
福井市で40年近く保育士として勤務。現在は自殺防止の活動以外にも、防災リーダーや市の観光ボランティア、学校での読み聞かせなど、幅広く活動している。
臨床心理学者の故・河合隼雄さんの著作を愛読してきた。好物は玄米やフランスパンなどの固いもの。

《きっと誰かの“命の番人(ゲートキーパー)”》
自殺防止を呼び掛ける市民グループ「ゲートキーパー ザ・かーちゃんズ」の会長だ。メンバーたち7人は、紙芝居などを通じて悩みを抱える人たちへの寄り添い方を紹介しており、地道な活動は多くの共感を呼んでいる。3月は自殺防止強化月間。悩める人が多い時代に、「あなたも誰かのゲートキーパー。近くにいる人の変化に気づいてあげて」と笑顔を見せる。
若手保育士だった20代の頃、気がかりになる子どもがおり、母親に声をかけた。すると、仕事や姑との関係で悩みを抱えていることを堰を切ったように打ち明けられた。悩みを吐き出すことに気持ちを和らげる効果があることは心理学的な根拠があるとされる。その母親もほどなくして安定し、子どもの行動もやがて落ち着いた。
「母親のつらい気持ちが子どもにも影響していたのでしょう」。
この経験が基で興味がわき、全日本カウンセリング協議会が認定するカウンセラーの資格を取得。退職するまで子どもに向き合いながら、保護者や同僚らの悩みにも寄り添ってきた。
退職を目前にしたタイミングで自殺防止の役割を担う「ゲートキーパー」を養成する市の講座があること知って受講。受講後の2012年に有志で立ち上げたザ・かーちゃんズに入り、現在に至る。
グループでは要請に応じて地域のサロンなどに出向き、自殺防止を呼び掛けている。ある時、かつてのうつ病を告白してきた参加者がいた。過去をたどるようにその人はこう続けた。
「辛くても自分から声が上げられないのは本当にその通りなんです」
その言葉を胸にとどめ、ことあるごとにかみしめてきた。「だからこそ、気が付いてあげられるのは周りにいる人たちです。特別な資格は要りません。否定せずに寄り添ったり、必要に応じて支援機関につなげてあげてほしい」。
そのメッセージを、仲間たちと共にこれからも伝え続けるつもりだ。