- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県南越前町
- 広報紙名 : 広報 南えちぜん 令和7年(2025年)5月号 No.245
■ニホンザルの位置情報を活用し、被害を防ぎましょう!
近年、ニホンザルによる農作物被害や家屋への侵入が問題となっています。「なぜすべてのサルを捕獲しないのか?」という声もありますが、サルの群れを適切に管理することが、被害を減らす最も効果的な方法です。
南越前町鳥獣害対策協議会では、サルの位置情報を住民の皆さまと共有し、被害の軽減につなげる取り組みを進めています。
■シカ・イノシシとサル対策の違い
シカ・イノシシの場合、個体ごとに捕獲することで被害の抑制が可能です。しかし、サルは群れで行動するため、単純に出没した個体を捕獲するのではなく、群れ全体の個体数や加害レベルを把握し、適切に管理することが重要です。
また、サルの群れをむやみに捕獲すると、次のような問題が発生する可能性があります。
▽別の群れが移動してくる
今いる群れをすべて捕獲しても、新たな群れが移動してくる可能性があり、捕獲前と同じ対策が必要になります。特に、個体数や加害レベルが不明な群れが来る場合、対策が振り出しに戻る恐れがあります。
▽群れの分裂を引き起こす
捕獲によって群れが分裂し、小規模な群れが散らばると、被害が拡大する可能性があります。そのため、捕獲を行う際には、群れの個体数や加害レベルの把握、行動圏の調査などのモニタリングを並行して行う必要があります。
▽費用対効果が低い
全頭捕獲には多大な時間とコストがかかるうえ、根本的な解決にはなりません。今いる群れを適切に管理し、人里に定着させないことが最も効果的です。
■サルの位置情報を活用し、被害軽減へ!
サルの行動を把握し、早めに対策をとることで、被害を防ぐことができます。南越前町鳥獣害対策協議会では、町内で行動している2つのサル群れ(南越前C群、南越前D群)の成獣メス各1頭に、LTE-M通信搭載のGPS首輪(バイオロギングソリューションズ(株)製)を装着し、1時間ごとの位置情報を公開する取り組みを開始しました。
▽公開している位置情報について
・1時間ごとのデータを毎日正午に更新
※サルが通信不可能なエリアにいる場合、データは受信しません。通信可能なエリアに入った際に、それまでの位置情報が公開されます。
・過去3か月分の位置情報を公開
※過去の移動履歴を活用することで、出没予測や追い払いの効果検証が可能になります。
■追い送りへのご協力を!
サルが人間の生活圏に定着しないようにするためには、「追い送り」が重要です。追い送りとは、サルの進行方向をコントロールしながら山へ戻すことで、「人のいる場所は危険だ」と学習させる取り組みです。
▼効果的な追い送りのポイント
▽複数人で行う
一人では危険を伴うため、可能な限り複数人で実施しましょう。
▽適切な方向へ誘導する
ロケット花火や爆竹を使い、サルを山へ戻すように誘導しましょう。
▽サルを引き寄せる要因をなくす
・エサを与えない、食べ物を外に置かない。
・ゴミを適切に管理する。
・放棄果樹や二番穂(ひこばえ)を放置しない。
■追い送り用資材(ロケット花火・爆竹)の提供について
南越前町鳥獣害対策協議会では、サルの追い送りに使用するロケット花火・爆竹の資材を提供しています。希望される方は、お住まいの集落の農家組合長(不在の集落は区長)に依頼し、資材をお受け取りください。
サルの群れを適切に管理し、住民の皆さまと情報を共有することで、被害を防ぐことができます。全頭捕獲は現実的な解決策ではなく、現在いる群れをコントロールし、「人里は危険な場所」と学習させることが最も効果的です。住民の皆さまがサルの位置情報を活用することで、事前に追い送りの準備を整え、より効果的な対策が可能になります。また、追い送り後に位置情報を確認することで、対策の効果を検証し、次回に活かすことができます。
引き続き、皆さまと協力しながらサル対策を進めていきますので、ご理解とご協力をお願いします。
■過去3年間の有害鳥獣捕獲結果
町内の、過去3年間の有害鳥獣の捕獲数は、次のとおりです。
問合せ:南越前町鳥獣害対策協議会(農林水産課内)
【電話】0778-47-8001