- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県南越前町
- 広報紙名 : 広報 南えちぜん 令和7年(2025年)6月号 No.246
文部科学省に設置される文化審議会は、5月16日に開催された同審議会の文化財分科会の審議・議決を経て、「旧京藤家住宅」を国の重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申しました。
近日中に正式指定される見込みで、町内での重要文化財(建造物)は平成27年の中村家住宅(南越前町河野)に続き、2件目となります。
■今庄宿有数の旧家 京藤甚五郎家
京藤甚五郎家は、「大門屋」という屋号で、江戸時代に酒造業を営んだ今庄宿有数の旧家です。今庄村では後藤覚左衛門が大庄屋を務めるなか、京藤甚五郎家は有力な家から交代で選ばれた庄屋や長百姓を務めました。5代目京藤甚五郎(1855年〜1927年)は、県会議員や村会議員を務め、「気骨のある人で、義侠心にも富んだ、まことに立派な人」と評される人物でした。
■旧京藤家住宅の敷地と建造物の特徴
旧京藤家住宅は、南越前町今庄宿伝統的建造物群保存地区の中ほどに位置しています。
主屋は北陸道に面しており、土蔵は主屋の背面(東側)に位置しています。主屋は居室部と座敷棟で構成される福井県下で最古級の大型町家で、寛政11年(1799年)12月の大火で被災した後に建て替えられました。大屋根は現在では桟瓦葺きですが、建築当初は石置きの板葺でした。
外観は木太い登梁で深い軒を支えて、外壁を塗籠(ご)めて両側に屋根卯建(うだつ)をあげている点が特徴的で、防火を念頭においた建築仕様であったことがうかがえます。また、正面の柱が道路側に2・18度傾き(前転び)、格子戸の裏手に摺(す)り上げ戸があります。前転びがあるのは、摺り上げ戸の安定を図ったものと思われます。この仕様は、越前地域の町家で数多く見られる特徴です。
土蔵は土蔵造り3階建てで、明治16年(1883年)に造られ、外壁は目板押さえの竪板(たていた)張りです。令和の保存修理工事により、土蔵の外壁の漆喰上塗(しっくいうわぬり)が当初は「半田土塗(はんだづちぬり)」という仕様であったことが判明しました。現在は北面と西面が漆喰上塗。南側と東側が半田土塗となっています。
◆重要文化財指定の概要
▽名称
旧京藤家住宅
▽所在
南越前町今庄第68号35番地
▽所有
南越前町
▽指定基準
(五)流派的または地方的特色において顕著なもの
▽建物(2棟)
・主屋
・土蔵
問合せ:教育委員会事務局
【電話】0778-47-8005