- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県南アルプス市
- 広報紙名 : 広報南アルプス 令和7年12月号 No.273
■国重要文化財指定30周年!!(4) ラヴィちゃんは特別!?
今月のふるさとの誇りは、重要文化財指定30周年を記念した鋳物師屋(いもじや)遺跡シリーズの最後です。
日本縄文文化の顔役として知られる円錐形土偶「子宝の女神ラヴィ」の謎にせまるべく、円錐形土偶の仲間たちに集まってもらいました。
縄文時代中期(約5千5百年前から4千5百年前)、山梨から長野を中心とした中部高地周辺は独特の文化を発展させていきました。土偶もその代表例と言え、それまで板状だった土偶が立体的に、そして自立するようになり、多様な土偶が作られるようになります。
その中に、独立した二足の脚部を持たずに、胴体の部分が円錐形の形をした、いわゆる「円錐形土偶」と呼ばれる仲間があります。
「円錐形土偶」は、単純な円錐形の胴体に顔がすぐ付くものがほとんどですが、ラヴィちゃんのように背中の反りなどリアルなボディラインを表しているものも稀にあります([2](本紙参照)も)。また、腕がある場合は腕が長いのも特徴です。円錐形土偶は全国でも70点程度と出土量は少なく、全体の様子がわかるものは20点程度しかありません。そもそも特別な土偶なのです。
その中でも突出して大きく精巧な作りのラヴィちゃんは現在では円錐形土偶の代表的な存在として知られますが、実は他の円錐形土偶と見比べると、その大きさからつくりの精巧さ、胴部から離れた腕のつくり、背中の反り、胴部の薄さなど、他の円錐形土偶とは異なった特徴をいくつも持ち、円錐形土偶の仲間の中で、特異性が際立った特別な存在であることがわかります。
写真・文:文化財課
※土偶だけに描かれるお腹の台形が向き合うような文様や三本指については先月号を参照ください。
※その他、詳しくは本紙をご覧ください。
■重要文化財指定30周年記念テーマ展
「鋳物師屋遺跡の世界観とその仲間たち」
いよいよ12.10(水)まで!
ふるさと文化伝承館
