- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県原村
- 広報紙名 : 広報はら 2026年1月号
■阿久遺跡の50年(4)
今回ご紹介するのは、国史跡・阿久遺跡発掘調査の最終回。遺跡の保存問題に決着がつかないまま4月を迎えた昭和53(1978)年、調査団は調査概報の作成作業を進めながら結論を待ちます。
◯保存問題の決着
国会の議員質問に対する文化庁答弁に沿う形で、文化庁調査官が現地を視察。「トンネル案・迂回案ともに非常に困難な状況下にあるが、“天啓”を待って独自の保存案を検討し、近い将来提案したい(4月16日/記者会見・調査経過記録)」との発表翌月、最終の文化庁案「土盛り方式」が提示されます。道路公団・村・柏木区も了承したこの方式案に対し、県考古学会総会では「次善の策として同意せざるを得ない」という統一見解が承認され、ここに保存問題は一旦の決着を見ることとなります。
◯国史跡指定を見据えた「第4次発掘調査」
「…従って、調査団も、保存を前提としながらも、半永久的に道路下に埋もれる遺跡の性格を可能な限り求める調査をすることとなった(5月21日)」。こうして7月から始まった第4次発掘調査。範囲確認や農道拡張に伴う調査も並行で進められ、膨大な記録作業が急ピッチで行われます。「連日のように見学者は後を絶たず、(7月3日)」「現地説明会。参加者は1,100余名を数え、本遺跡への関心の高さが示された(10月22日)」。土盛り保存、即ち高速道路下に埋められてしまう大遺跡に対する注目は、史跡指定に向けた関心も含め非常に大きなものだったことが伺えます。
ご紹介した遺跡の出土品を役場1階ロビーに展示しておりますので、お越しの際はご覧ください。
問合せ:生涯学習課 文化財係
【電話(直通)】79-7930
