くらし 〔むらはいま〕朝日村監査委員 令和6年度決算審査報告 7月29日から8月17日

■主な審査意見
▼一般会計
*令和6年度決算
人件費は2・8%、扶助費は2・6%と増加しており、義務的経費の増加は財政の硬直化を招く要因となることから、人件費の推移および扶助費の動向については、今後も注視が必要である。
*地域レジリエンス自立分散型エネルギー設備導入事業
庁舎消費電力の6割を賄い、地域レジリエンス能力の確保と脱炭素化を実現。今後設備の保守や更新費用を考慮し、計画的な運用を求めたい。
*自治体DX推進事業(標準準拠システム移行事業等)
予定通り稼働を開始。職員とベンダーの協力の成果として高く評価できる。一方で当村の規模や業務実態に適合しているとは言い切れない部分も多く、不具合等の改善策の検討を求めたい。
*診療所建設事業
医師の募集、設計業務等は大きな変更なく進み、本年度より建設工事に着手。物価や人件費の上昇に伴う事業費増額は、社会情勢を踏まえ、やむを得ない対応である。
*住宅耐震・ブロック塀改修事業
9件の住宅耐震診断と7箇所の集会所の耐震診断を実施。補助対象外の住宅(改修・増設を行った住宅)への診断の必要性や支援の検討が望まれる。
危険ブロック塀は、保護者から要望があった通学路沿い1件の撤去工事を実施。住民の安全確保のため、必要性の周知の継続を求める。
*農業振興事業(担い手確保・育成)
新規就農を志した地域おこし協力隊2名が定住することなく3年間の任期を満了。担当課の日常的な相談対応等が充分であったか。村にとって必要な人材を見極めるための選定基準の整備が望まれる。
*公民館周辺施設再編基本構想策定業務
検討委員会で議論され、基本構想・基本計画がまとめられた。設計に関する委託成果は非常に詳細かつ整理された資料であり、高く評価できる。また、職員の庁内検討委員会を構成し横断的により効果的な検討成果を得られたと考えられる。
〔国民健康保険特別会計〕
保険税の調定額に対する徴収率は滞納繰越分を含め94・5%(現年分98・2%)であった。徴収率の向上のため、制度の周知や口座振替の推進等、納付環境の充実に引き続き取り組まれたい。
〔介護保険特別会計〕保険料の調定額に対する徴収率は滞納繰越分と合わせ99・9%であった。引続きこの徴収率を維持できるよう、普通徴収分の口座振替の推進等、納付環境の充実に取り組まれたい。
〔後期高齢者医療特別会計〕保険料の調定額に対する徴収率は99・7%であった。他の特別会計と同様に、制度の周知と納付環境の充実に取り組まれたい。
〔あさひプライムスキー場事業特別会計〕スキー場建築物の長寿命化に向けて、簡易劣化度調査を初めて実施し、長期的な改修計画案が作成された。改修については、費用の妥当性を踏まえた検討が求められる時期にきている。劣化度調査のタイミングと、その調査方法・内容が、対象設備の長寿命化に向けた対応として適切であったか判断が問われる。
〔簡易水道事業会計〕
大尾沢浄水場建設工事は、令和7年度の完了に向け、年度末の進捗率は68・3%。
新設運用を開始した機械・電気設備は順調に稼働している。住民への水源確保・安定供給を行う重要設備であることから、予防保全を重視した保守基準や点検マニュアルの整備が重要である。また、監視通報データを活用した異常兆候の早期検知を行い、修繕費などコスト削減も考慮した運用に取り組まれたい。
〔下水道事業会計〕
下水道ストックマネジメント計画に基づき、汚泥処理棟の改築更新に係る基本設計を実施し、汚泥の脱水方法について比較検討を行った。下水道事業は、一般会計からの繰り出しが多く、特に敷設管の更新工事は大規模な予算を要することから、今後の大きな課題となっている。
また、「広域化・共同化」についても、将来の健全な事業運営を見据え、計画的な施設更新と先見性を持った対応が求められる。持続可能な下水道事業の実現に向け、財政負担の軽減と効率的な運営の両立を図られたい。