- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県恵那市
- 広報紙名 : 広報えな 2025年6月号 No.395
■恵那の大地の歴史
その三 断層が作った恵那盆地
恵那地史研究会 古山享嗣(きょうじ)さん
約350万年前、恵那盆地はまだ存在しておらず、古木曽川が現在の美乃坂本から大井町・東野を通り、岩村町や上矢作町方面へと南に流れていました。
約100万年前、岩村町南部から山岡町南部にある「恵那山断層」が動き始め、南側が隆起しました。「逆断層」のため上昇した南側の地盤が北側へ崩れる現象が繰り返され、崩れた土砂が堆積しました。さらに、東野南部から三郷町南部にある「屏風山断層」も逆断層で、同様に南側が大きく隆起しました。これらの断層活動により、それぞれの南側が500メートル以上隆起したといわれています。
断層の隆起により、それまで南へ流れていた古木曽川は現在の笠置町辺りを西へ流れる流路へ変化。北へ流れる岩村川や阿木川、飯沼川にあたる流路も、この時期に形成されたと考えられています。中津川、佐々良木川もこれらの断層により形成されました。このようにして、恵那盆地がつくられたのです。
やがて地球は氷河時代を迎え、寒冷な「氷河期」と比較的温暖な「間氷期」を繰り返しました。間氷期には氷が溶け大規模な洪水が発生し、川の両岸が削られて「河か
岸段丘(がんだんきゅう)」が形成され、現在の阿木川などの景観がつくられました。
本紙4月号から恵那の大地の歴史を振り返ってきました。激動の歴史を経て、恵那の大地は水資源が豊富で、自然に恵まれた美しい景観となったのです。
※1 左右から押す力が加わり、断層面の上側にある岩盤(上盤)が上がった断層
※2 川に沿って形成された階段状の地形