くらし 特集 未来を変えるつながる力(1)

地域のつながりを育み、安心して暮らせるまちづくりを支える大切な組織「自治会」。しかし、近年自治会に加入するハードルが高いと感じる人も少なくありません。そんな中、自治会の必要性をあらためて見直し、「自治会に入ってよかった」と思える活動を行っている自治会もあります。
今回、現職の自治会長および自治会長経験者の3人にご協力いただき、それぞれの経験や視点を交えながら、今の自治会活動やこれからの自治会の展望などについて、リアルな声を語っていただきました。

■語り手の皆さん
・美濃加茂市自治連合会長 令和7年度 則光自治会長(下米田地区) 髙井 強(たかいつとむ)さん
・令和7年度 万場自治会長(太田地区) 熊崎 万穂(くまざきまほ)さん
・令和6年度 中部台自治会長(蜂屋地区) 瀧上 泰史(たきうえやすふみ)さん

ー現在、市の自治会長の約60%が「輪番制」で選ばれています。自治会長になると決まった時の気持ちを教えてください。ー
瀧上:令和6年度に自治会長になる順番の人は、まだ入居年数が短く、またコロナ禍で自治会活動の経験も浅かったため、代わりに引き受けました。これまでの良い取り組みを残しつつ、変えるべき部分もあると感じていたので、状況を分かっている自分がやらなければと思い、立候補しましたね。
髙井:私の自治会では長い人で10年程度役員を経験する場合があり、ある程度内部のことが分かった状態で自治会長になります。ちょうどお祭りの当元も回ってきて、元々祭りを盛り上げたいという気持ちもあったため、良いタイミングで回ってきたと、やる気になりました。
熊崎:会合で「次の自治会長はあなたの家の番だよ」と言われ驚きましたが、以前から防災面の改善の必要を感じていましたし、周囲の「やってみたら?」の声と、自分が問題と思うことは自分が直接やった方がいいなと思って、親と世代交代をして自治会長になりました。子どもの頃は地域の人に守られていましたが、今は自分が守る側になりたいと思うようになりました。

ー皆さん前向きに引き受けられたんですね。自治会長を任されると荷が重いという声も聞かれますが。ー
瀧上:それは当然だと思います。自分がやりたいことばかりができるわけではなく、さまざまな役割や対応が求められます。こちらが良かれと思ったことでも、他方から異なる意見が出ることがありますね。
熊崎:自治会での経験が少なかったこともあり、自治会長の業務をそんなに知らなかったので、自分の知らない世界をただ知りたいという好奇心が勝った感じでした。実際にやってみると、話したことがない人と話せたり、いろいろな人の声や思いを知ったりすることがうれしかったです。自治会員の要望を聞いても解決までの道のりが長いという課題もあります。ここが解消されれば自治会長の負担も減るのではないでしょうか。

ー自治会長を経験して、良かったこと、大変だったことはありますか。ー
髙井:回覧板を回したり、資料を作成したりするなど、事務作業はやっぱり大変ですね。良かったことは、自分が決断すればやれるということです。先輩方が築いてきた取り組みを引き継ぎつつ、変えるべきところは変えていきたいと思っています。地域の皆さんから「一生懸命やってるね」「ありがとう」と声をかけていただくことも増えました。
瀧上:自分がやりたいことを実現できたのは、協力してくれた周りの人たちのおかげです。そういうことを自然に感じられるようになったことも良かったです。事務作業は大変ですね。当時、交替勤務の仕事をしながら自治会資料を作成していたので、時間がうまく取れず苦労しました。