健康 メディカル通信

■インフルエンザ脳症(のうしょう)
小児科医 田中 健(たなかたけし)
インフルエンザ脳症は、インフルエンザ感染時に発症する重篤な合併症で、特に小児に多くみられます。下田メディカルセンター小児科で前年度治療した10代の女の子のケースでは、痙攣はなかったものの発熱や意識障害、異常行動などの症状が急速に進行していきました。幸いなことに迅速に治療ができ、後遺症も残らず完治したことから胸を撫で下ろしました。
このように早期の治療も重要ですが、最も効果的な対策は予防です。インフルエンザ予防接種は、この重篤な合併症を防ぐ有効な手段です。ワクチン接種により、感染のリスクや脳症まで発展するリスクを大幅に減らすことができます。特に乳幼児をはじめとする小児は、優先的に接種が推奨されています。家族内感染などを考えると、身内の方全員の接種が理想的です。また、副反応を心配されることもありますが、ワクチンの安全性は確立されており、重篤な副反応は極めて稀です。インフルエンザ脳症のリスクと比較すれば、接種による利益ははるかに大きいといえるでしょう。
前述したとおり、インフルエンザ予防接種は、自分自身だけでなく大切な人々を守るための重要な手段です。毎年、インフルエンザ脳症で命を落としたという痛ましいニュースが数多く報道されています。もしかすると、予防接種で防ぐことができたケースもあったかもしれません。大事な身内の方のためにも、みなさんで毎年の接種を忘れず、正しい知識を持って予防に努めましょう。

問合せ先:下田メディカルセンター
【電話】25-2525