文化 文化財通信 その239

明治日本の産業革命遺産
~佐賀~
8県11市にまたがる8エリア23資産からなる「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」から、エリア5「佐賀」を紹介します。
佐賀には、「造船分野における試行錯誤の挑戦」に位置付けられる資産として、「三重津(みえつ)海軍所跡」があります。
佐賀藩は、薩摩藩と並んで、西洋の科学技術を積極的に取り入れた藩です。藩主の鍋島直正は、韮山代官江川英龍とも親しく、反射炉や西洋砲術などについて、頻繁に情報を交換していたことが知られています。
長崎警護の任に当たっていた佐賀藩は、西洋式の帆船や蒸気船についても早くから情報収集と技術の習得に努めていました。長崎での海軍伝習にも多くの藩士を派遣しています。さらに、安政5(1858)年筑後川の支流である早津江川に面した「早津江」の地に、修船や乗組員訓練のための「三重津海軍所」を開設します。海軍所には、船の建造や修理をするための乾式船渠(せんきょ)(ドライドック)が整備され、慶応元(1865)年には日本初の実用蒸気船である「凌風丸(りょうふうまる)」が建造されたのです。
現在、地上に当時の建造物などは残っていませんが、発掘調査によって、伝統的な工法を駆使して作られたドックの木組遺構などが確認されました。
遺構は、佐野(さの)記念公園の地下に保存されており、隣接する「佐野常民(つねたみ)と三重津海軍所跡の歴史館」で、詳しい情報を知ることができます。

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