- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県岡崎市
- 広報紙名 : 市政だより おかざき No.1442 2025年11月号
■私たちの暮らしを支える“足”が危機に直面しています
公共交通の利用者が減り、利用客の少ない路線が廃止、減便されるなど公共交通を取り巻く状況は厳しさを増しています。公共交通は決して永続的にあるものではありません。大切な移動手段を未来に残していくため、私たちが何をすべきか考えてみましょう。
■岡崎市の公共交通 現状と課題
地域交通は、地域住民の日常生活を支え、地域経済の活性化や社会とのつながりを維持する上で、地方創生の基盤とされています。しかし、本格的な人口減少時代を迎え、本市においても少子高齢化や生産年齢人口の減少、コロナ禍後の生活様式の変容により公共交通を利用する人は減っています。
公共交通の利用者数はコロナ禍前の状況まで回復しておらず、未だ厳しい状況が続いています。
市では、採算の取れないバス路線を維持するため、毎年多くの公的資金を投入しており、令和6年度の公的資金投入額は4億4千万円を超え、この6年間でおよそ1億円の増加となっています。
公共交通の利用者減は路線の縮小、運行本数の減少につながります。利便性の低下により更に利用者が減少するという連鎖的な悪循環に陥る恐れが生じます。また事業者にとっては運転手不足も大きな課題となっています。こういった状況が続けば、路線そのものの廃止につながります。実際、令和4年には矢作支所市民病院線、令和6年には大沼線(大樹寺経由)が廃止となりました。
▽公的資金投入額(千円)

▽利用者数の推移(万人)

▽公共交通 路線図
※詳しくは本紙をご覧ください。
■岡崎市の交通ネットワーク
市内には、鉄道3路線17駅、路線バス49路線(民間45路線、市コニュミテイバス4路線)、タクシー6事業者など様々な交通手段があります。これらはそれぞれの特性を生かし、移動の距離、時間帯、目的、人数などに応じた役割分担をしています。
本市の交通ネットワークを木になぞらえると「幹」の交通は鉄道、「枝」の交通は路線バス、「葉」の交通はコミュニティ交通などとなります。
地域における移動手段の確保は重要な課題です。「葉」の交通は、地域住民の最初の移動となる交通手段として、地域住民の豊かな暮らしや地域の社会経済活動に不可欠なものです。
・地域で支える“葉”の交通…コミュニティ交通、予約型乗合タクシーなど
・“枝”の交通…路線バス
・“幹”の交通…鉄道
■Interview
▽未来へ続く公共交通を育む
岡崎市地域公共交通会議 会長
松本 幸正さん
岡崎市は他の自治体に比べて路線バスなどの公共交通が多く残っている状態です。しかし、岡崎市に限ったことではなく、人口減少や生産年齢人口の減少に加えコロナ禍以降、在宅勤務やリモートワークなどが増え、人々の生活様式が変化した影響もあり、公共交通の利用は回復しきらず、大変厳しい状況です。
ひと昔前は、地域の要望で公共交通を守るため、バスや鉄道を走らせることが行政の役割になっていた時期もありました。しかし、現在は法律も変わり、利用してもらう環境を作ることが大切になっています。
公共交通を維持していくためには、自治体、交通事業者、市民の協力・協働体制が不可欠であり、それぞれが必要な役割を果たさなければなりません。全て交通事業者に任せる時代でもなく、全て行政でやれる時代でもありません。ここは事業者、ここは行政、ここは地域でお願いしますというように上手く役割分担をしないといけません。そのためには皆さんが同じテーブルについて話し合いながら、何がやれるか、何ができないか、それを明確にしていく必要があります。
行政にとって一番大切なことは、まちの将来像を示し、未来のみえるまちづくりを進めていくことです。交通事業者は公共交通に関するノウハウを最も有している企業ですから、行政と一緒になり政策に基づき路線整備などの投資をしてもらいます。まちの魅力が高まることで自然と人々がまちに集まってきます。岡崎市にはQURUWA戦略などまちを元気にする仕組みがあるので、そういった取り組みが非常に大切です。今、東岡崎駅の整備も進んでいます。駅前が変われば当然バスの利用者も増えると思います。
地球温暖化や二酸化炭素の排出などの地球環境を考えた時、環境に負荷が少ない公共交通を利用することが求められます。それは、公共交通を利用できる周辺で生活するという居住地の選択、あるいは移動手段の転換にもつながります。ただ環境負荷軽減のためだけに車から公共交通へ移動手段を変え続けることは非常に難しいものです。しかし、自身の健康につながることならできるのではないでしょうか。公共交通を利用することは体力を使います。ちなみに私も日々運動を取り入れるため、仕事では車の利用を控えています。
理想としては、誰もが公共交通を利用できる環境ができればと思います。公共交通を「守る」「支える」と言いますが、ずっと支え続けることはできません。守るとか支えるのではなく、公共交通を「育む」姿勢が大切です。多くの人が公共交通を利用することで、もっと良くなって、更に使いやすくなります。今は地域の皆さんが自分たちにとってふさわしい交通を実現できる時代です。公共交通を未来に残すためにも、私たち一人ひとりが公共交通の存続を自分事として捉え考えていただきたいと思います。
