- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県半田市
- 広報紙名 : はんだ市報 2025年(令和7年)11月号(NO.1586)
■第81回 ガリ版と新美南吉
みなさんは「ガリ版」をご存知ですか?正式には「謄写(とうしゃ)版印刷」と言い、明治時代から昭和40年代まで盛んに使われた簡易印刷の技術です。新美南吉も、文学仲間と共に発行した文芸誌や、学校教師としてテストや生徒と一緒に詩集を作る際などに使っていました。南吉は旧制中学時代に、友人から借金してまで自分専用のガリ版の機材を購入し、文芸誌を印刷しています。
「杉江松太郎に2yenを返した。去年文芸誌『砂丘』を出す時、かりたものだ。」(昭4.9.5日記)
また、南吉の無題小説「中学二年生の時」はこの借金をモチーフに書かれた作品です。ガリ版の機材を手に入れたと喜びと、一方で借金をしてしまったことが次第に苦になってくる心理を描いたおもしろい作品です。
新美南吉記念館では、11月16日(日)にガリ版を使った印刷体験(要予約)を行います。今では見られなくなったこの印刷方法をぜひ体験してください。
(1)表面にロウの塗られた原紙に傷をつけ字や絵をかく。
(2)原紙にあいた穴から出るインクを紙に写して印刷する。
南吉が生徒らとつくった詩集「雪とひばり」
※詳細は広報紙25ページをご覧下さい。
