文化 文化財さんぽ Vol.38

■数学への情熱が伝わる「算額(さんがく)」
「算額」は、日本独自の数学「和算」の問題を解いて神社仏閣に奉納した絵馬の一種です。奉納された算額を人々が見ることで、解答を広く知らしめたほか、問題を解いた人の名を誇示する意味もあります。江戸時代に流行した風習で、三重県には記録の上で、30面以上があったとされていますが、現存するものは11面に過ぎません。
川島町の神明(しんめい)神社には、このうち寛政二(1790)年、天保十五(1844)年、文久三(1863)年の3面の算額が残されています。
特に寛政二年に奉納されたものは現在、三重県最古と考えられています。額には3問あり、数学の代数が解かれています。天保十五年の額は、柳川安左衛門(やすざえもん)の奉納で出題した問題を、門人(もんじん)の清水中治(ちゅうじ)が文久四(1864)年に回答したことを裏面に記しています。文久三年の額は清水貞信が出題したものです。
算額は、和算が江戸時代の70年以上にわたって川島地区で親しまれていたことを知る貴重な文化財です。そのレプリカは神明神社拝殿に飾られており、数学の問題に取り組もうとする当時の人々の情熱が伝わってきます。

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