文化 文化財さんぽ(BUNKAZAI SANPO)Vol.41

■四郷の歴史的景観に寄与する神楽(かぐら)酒造酒蔵兼釜場(さかぐらけんかまば)・西酒蔵
四郷地区は、19世紀に味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)、酒、酢などの醸造業が盛んになり、製茶や製糸業とともに三重県の経済を牽引しました。その一つである神楽酒造は、かつてさまざまな工場が林立して栄えた、この地区の往時の景観を伝える建造物です。
神楽酒造の酒蔵兼釜場は、2階建て切妻造(きりづまづくり)の東西棟で、南側に釜場が突出しています。1階は土間で、現在も洗米(せんまい)場、蒸米(じょうまい)場、麴室(こうじむろ)などに利用されており、瓶詰め作業も行われています。内部は作業場としての大規模な空間となっており、柱や梁(はり)の重厚な構造部材が迫力を感じさせます。
西酒蔵は酒蔵兼釜場に接しており、両者は一体の建物のように見える形状をしています。現在、2階は倉庫、1階は仕込みの作業場として活用されているほか、一部は酵母室や神楽酒造の歴史を伝える道具や資料を保管・展示する展示室としても利用されています。
酒蔵兼釜場および西酒蔵は、四郷地区の歴史的景観に寄与する建造物であり、令和7年8月6日付で国登録有形文化財(建造物)として登録されました。

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