- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県尾鷲市
- 広報紙名 : 広報おわせ 令和7年6月号
■クロメジナ
クロメジナはメジナ科メジナ属の魚で、定置網や刺し網で漁獲されたものが水揚げされます。メジナ属は海藻や甲殻類を主なエサとしていて、オキアミをエサにしてウキを使った仕掛けで狙う磯釣りの対象魚として、非常に人気があります。グレと呼ばれるメジナと非常に似ており、エラ蓋(ぶた)の後縁(こうえん)が黒いこと、メジナと比べて鱗が小さく、尾ビレが大きいことで区別でき、釣り人からは、尾長グレと呼ばれています。クロメジナの産卵生態は、数年前まで解明されておらず、産卵期は11~12月あるいは10~2月という説があったぐらいで、産卵場所は不明でした。というのも、日本近海では成熟した卵巣、精巣を持つクロメジナが見つかっていなかったためです。
クロメジナの産卵場所を突き止めるため、日本の南方海域のクロメジナの卵巣、精巣を調べた最近の研究により、台湾近海のクロメジナの卵巣、精巣が成熟していることがわかったことから、黒潮の上流である台湾近海において、冬から早春にかけて産卵が行われると考えられています。
メジナは6歳で約30cmに達し、大きいものでも60cm程度ですが、クロメジナは80cm以上のものが釣り上げられた記録もあります。メジナは春の産卵期前にあたる冬に最も脂が乗り、寒グレと呼ばれて重宝されます。クロメジナも冬が旬とされる記述も多いですが、水温の上昇で活性が高まる梅雨時期に釣果が上がることもあり、初夏にも味は良くなるといわれています。