- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県いなべ市
- 広報紙名 : いなべ市情報誌 Link 2025年6月号(vol.259)
執筆:ふるさといなべ市の語り部の会
◆田辺城(北勢町)
田辺城は、田切川と二之瀬川に挟まれた標高240mの丘陵上に築かれた山城で、平成15年3月に北勢町の史跡文化財に指定されました。北畠氏の系譜に属する木造左衛門佐長政(こつくりさえもんのすけながまさ)(具康(ともやす))によって築かれたと言われています。
織田信長が伊勢に侵攻してきたとき、長政の父具政(ともまさ)は信長に仕えており、津市に戸木(へき)城を築いて暮らしていました。その後、小牧長久手の戦いで織田信長の次男信雄(のぶかつ)が秀吉と和解すると、長政は信雄から員弁に土地を与えられ、それまで住んでいた城を廃城し、田辺城を新たに築きました。そのわずか4年後に秀吉による小田原出兵により、長政は田辺城を出て、そのまま戻ることなく廃城となりました。
現在城跡は、主郭(しゅかく)を中心に空堀(からぼり)や土塁(どるい)、土橋(どばし)が残っていて往時の姿をわずかにとどめています。水の手曲輪(てぐるわ)北半分や本丸北の屋敷跡などは、東海環状自動車道の工事によって無くなりました。
〇田辺城の空堀(北勢町)
解き明かされていない謎も多く、ロマンがかき立てられるお城です。
問合せ:ふるさといなべ市の語り部の会 伊藤忠
【電話】090-3583-2827