- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府福知山市
- 広報紙名 : 広報ふくちやま 2025年11月号
■「フズリナ石灰岩」
所蔵:福知山市教育委員会
化石の中でも生きていた時期がはっきり分かっている生き物の化石を示準化石(しじゅんかせき)といい、その中のひとつである*有孔虫のフズリナは、古生代の石炭紀〜ペルム紀(約3億5920万年前〜2億5190万年前)に繁栄した生き物です。温暖な海域の海底付近に生息し、当時のサンゴ礁と考えられている石灰岩中に含まれる化石として知られています。
フズリナは、断面が何層にも重なる渦巻き状の殻をしていて、その姿は糸を巻き取る紡錘(ぼうすい)の形をしていることから「紡錘虫(ぼうすいちゅう)」とも呼ばれています。体長は数mm〜2・5cm。直径は1cmになるものもあり、アメーバのような単細胞生物で、体の一部を糸状に伸ばし、これを使って移動したり、さらには餌となる有機物の捕獲もしていたとされます。
フズリナの殻は石灰質からできていて、殻がたくさん集まり堆積したものをフズリナ石灰岩といいます。写真(1)は、京都府船井郡京丹波町(旧瑞穂町)で採取されたフズリナ石灰岩です。酢につける処理を施しています。半日ほど酢につけると石灰質の部分がブクブクと泡を出して溶け、フズリナの化石が浮き彫りになり見えやすくなります。写真(2)は石灰岩を拡大したもので、写真に写っている白い丸や楕円は、ひとつひとつがフズリナの化石です。
フズリナは、地球史上最大の生物大量絶滅(P/T境界事変)と言われる古生代ペルム期に絶滅したため、今は生きている姿を見ることができませんが、有孔虫類の仲間は現在サンゴ礁が広がる海中に「ホシズナ」という名で生息しています。殻となったものがお土産などで有名な「星の砂」です。
フズリナ石灰岩は、加工して使用されることもあり、建物の壁や床の石材にその姿を発見できることがあります。夜久野町化石・郷土資料館には原石だけでなく、フズリナ石灰岩を加工した壺も展示してありますので、ぜひご覧ください。
*有孔虫…海洋に生息する小さな単細胞生物
→掲載の写真は本紙をご覧ください。
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