健康 やさしい健康講座 第189回

市民の皆さんの健康に関して、今回は嶋村歯科医院の院長が、専門分野についてお話します。
嶋村歯科医院 院長
嶋村 浩一(しまむら こういち)

■「むせる、咳き込む、食べこぼす」と「誤嚥性肺炎」
お口の機能低下は、のど・唇・頬そして舌の筋肉が老化したものとして捉えられます。老化に伴う歯数の減少、お口の機能低下は、結果として噛みにくい線維性の食物(肉・野菜)を避けるようになります。
高齢者は唾液の分泌も低下し、味覚の認識が難しくなり塩味の強い、あまり噛まなくてもよい炭水化物を好む傾向になります。同時に筋力低下は、食べ物をうまく食塊(食べ物を噛んで唾液と混ぜて飲み込みやすい状態にした塊)として形成し難くなります。そして知らない間に、お口の食べ物が咽頭から気管支に落ちて「誤嚥性肺炎」を引き起こす事があります。特に75歳以上でよく、「むせる、咳き込む、食べこぼす」を経験する人は要注意です。
予防法としては「舌まわし」があります。唇を閉じて舌で歯の表面を左回り、右回りでそれぞれ10回を3セット。2Lのペットボトルを吸ってへこませ膨らませる(最初は手で押して柔らかしてからがお勧め)3回を3セット。上向きうがい(ガラガラうがい)10秒を3セット。有名な「パタカラ体操」「アイウベー体操」もお勧めです。お風呂やトイレでもできます。最初は意外と筋肉がだるくなりますが、「継続は力」です。