くらし 特集 今日あなたは何を食べますか?(6)

▼思い出の料理
藤和田在住 福田節子(ふくだせつこ)さん
「思い出の料理はカレー」と昔を思い出すように話してくれた福田節子さん。

▽食べる人のことを考えて
「息子が小さかったころは牛肉を食べなかったから、鶏ミンチを使ったカレーを作っていました。今でもたまにお母さんのカレーが美味しかったと言ってくれるんです」と照れくさそうに微笑む福田さん。

▽たまには手抜きも
近所の農家から野菜をもらえることも時々あるそうで、「ネギをもらったから、家にある豆腐と、お肉を買い足して肉豆腐にしようとか、いろいろ献立を考えるんです」と楽しそうに話すその姿から料理が好きだと伝わってくる。
そんな料理好きな福田さんだが、「スーパーでお惣菜を買うときもあるし、ちょっと手を抜くこともありますよ」と意外な一面を見せる。365日必ず料理をしようと思わず、程よい手抜きもいいのではと話す。

▽水くさい料理
「私の料理は水くさいと思う」と自身の料理は薄味だといい、「醤油もあまり使わないし、砂糖もあまり使わない」という。
「ほうれん草はちょっと湯がいて鰹節をかければ美味しいし、お豆とサツマイモを一緒に炊くと甘くて美味しいですよ」と出汁や素材の味を生かし、過度な味付けはしない。これは昔、義母の体調面から、料理に砂糖を使えなかったことが自然と身体に薄味が馴染んでいったのではないかと話す。
誰かのことを考えて、工夫を凝らした料理。そんな料理がお互いの思い出の味となり、自分自身や周りの人の健康につながっている。

▼三方よしの簡単調理
キッチンにしまち 山崎雅子(やまざきまさこ)さん
「捨てるところは無いですよ」そう話すのは、キッチンにしまちの山崎雅子さん。料理教室やランチ会などを通して、みんなが健康に生活できるようさまざまな活動をしている。
少量の塩で野菜のうま味を引き出す「蒸し煮」を推奨し、昨年12月には久御山町食品ロスクッキングで講師を務めた。

▽芯も美味しい
日本で家庭から出る食品ロスは年間236万トン、そのうち約14パーセントが食べられる部分まで捨ててしまう過剰除去により廃棄されている。
「小松菜は芯の部分も食べられるし、ほうれん草の根も甘くて美味しい、ニンジンは皮ごと蒸した方が断然美味しい」と通常捨てると思い込んでいる部分も蒸すことで柔らかくなり、捨てる部分は無いという。

▽楽じゃないと続かない
数種類の野菜を重ねて蒸すことで、それぞれの野菜の持ち味を保ちつつ、いい具合に味が馴染む。色々な料理に使い回しができ、ロスも出にくいという。
一方、「たくさんの野菜を入れれば美味しくなるというわけでもないし、材料を集めるのも大変になる。蒸し煮は1種類の野菜だけでも美味しいし、これなら誰でも続けられると思う」と『楽』な調理を心がけている。
過去に山崎さん自身が忙しさで食生活を乱し、体調を崩した経験から、「みんなが無理なく続けられるものでないと意味がない」と話す。

▽人も野菜も環境も幸せに
「楽に作れて、野菜のポテンシャルを引き出し、ごみも少なく済む。蒸し煮は『人によし、野菜によし、環境によし』の三方よしの調理法なんです」

▼あなたにとって「食」とは
今まで食べたもので一番美味しかったものは何ですか。思い出の味は何ですか。
食とは、
「生きるうえで欠かせないもの」
「誰かを笑顔にするもの」
「人と人とをつなぐもの」
「誰かの心に残るもの」
食は、栄養を摂取し、身体をつくる以外にも大切な役割があります。
食を通じて文化や伝統をつなぎ、食を共にすることで人間関係を深め、お腹を満たし、心を満たし、人そのものを形成しています。
365日、完璧な食事をつくることは難しいかもしれません。ですが、毎月19日の「くみやま野菜の日」には、いつもより少し買う食材のことを考えてみる、いつもより少し味付けを工夫してみる、そんな少しが食生活に変化を与え、自分自身の身体・家族や周りの人の身体をつくり、笑顔をつくっていくのではないでしょうか。
今日あなたは何を食べますか。